はじめのはじめ

二次元傾倒な日々。

星メモ日記3

 初登校。蒼ちゃんも家を出るのが遅い。ゆったり歩いているところを見ると、あまり教室で時間を過ごしたくないというあれか。
 名前を忘れてしまった「展望台の彼女」だけれど、彼女との思い出はまだ残っているようで。彼女に笑われないように──友達をつくらなかった昔とは違うのだと意気込んで──ホームルームでしっかり挨拶をしようとするも、上手くはいかない自分がいて。
そこに明日歩の声が響いた。人によっては、むしろそれは余計な行為だと思うこともあるだろうが、洋にとってはそんなことはなかった。
 
 頭でっかちはやめた、と語る洋だったが、実際はそこまで変わっていなかったのかもしれない。それは洋にとっては「成長できていない」ことだったのだろうけれど、明日歩にとってはきっと嬉しいことだった。小難しい理屈をしゃべる姿を見て、懐かしむように微笑んだはずだ。
 
 友達を作ろうとしないのは、別に頭でっかちとは直接の関係は無い。人に頼りたくないという潜在的な思いがあるのかもしれない。学食の場所くらい、明日歩にでも聞けばよかったのだ。
 ふと、朝一緒に学校まで歩いていた蒼衣鈴を思い出す。彼女も、そうなのだろうか。昔の洋と同じように、友達なんて作る必要がない、だから学校で休み時間なんかに友達同士でくだらない会話をするなんて時間の無駄。そう思っているのだろうか。
 
 学食にて。部員勧誘の話。
 展望台の彼女に教えるため。洋にとって星に詳しくなるということは目的ではなく、手段だった。星座に詳しい学生は、きっと少ない。天文図鑑を読み漁って得た知識は、きっと誰にも開かれることはなかったのだろう。それでも洋はよかったのだと思う。なぜなら、彼が星に詳しくなったのは、ただ一人のためだったのだろうから。じとっとした目で「何様のつもり?」と言いつつも、話の続きを聞きたくてそわそわしている彼女に、星々の話を物語るため。そんな未来を想像していたから。
けれども、目の前に現れた明日歩は、そんな自分よりよっぽど星に詳しいようで、そんな自分よりよっぽど星のことが好きなようで。
「星ってね、すっごいんだから!」
 瞳をきらめかせながら、大きな身振り手振りで語る明日歩の姿は、きっとまぶしく映ったのだろう。
 友達と、天体観測をするのも悪くないかもしれない。なんて感情が心の片隅に灯るくらいには。
 
 姫榊こさめ。
 おそらく誰の味方でもあろうとする女の子。人と人との間に入るのが得意そうな印象を受ける。思えば初登場の場面でもそうだったか?
 卒業アルバムと記憶喪失に関する本、というキーワードから、いくつかの理由を考え、けれどそれを口には出さない。学食で話していたバイトの理由についての会話でも、漠然と察していたのだろう。
 
「想い出は、想い出だよね」
「洋ちゃんだって、そうなんでしょ?」
 明日歩自爆から。
 この言葉って額縁どおりの、過去は過去で今とは違う、といった意味ではなくて……って、後から独白してくれるのか。
 容易に触れてほしくない、触れてはいけない。そういう類の。
 大事にしすぎて抱え込んだそれは、メアに言わせれば「悪夢」と呼ばれるほどの想いがこもったもの。
 
「洋ちゃんは、学校に興味がなかったんだね」
「洋ちゃんは、展望台のほうが、大切だったんだね」
 自分が大切に抱えていた想い出。それがつまった学校が、実は相手にとっては興味の対象外だった。
 
「今日のあなたはダメダメね」
 ああ、確かに今日の洋は、ダメダメだったと思う。
 明日歩がどんな気持ちで一緒に小学校に向かってくれたのか。どんな気持ちで、自分が好きだった男の子は学校より展望台のほうを大切にしていた、ということを知ったのか。どんな気持ちで、打ちひしがれる洋を見ていたのか。
 そんなことは一切考えることができていなかっただろう。
 
 美しいものを見た。こんなにも美しいものを見たのは、久しぶりだ。
 洋と明日歩。ダメダメだった今日、苦い想い出を抱え続ける二人。そんな二人の上に広がるのは、けれど雲雀ヶ崎でもっともきれいに広がる星空。溺れてしまいそうな、星の海。そして交わされる、会話の内容。何が美しいかって、想い出はやはり悪夢なんかじゃないんだということを、二人の会話が物語っていることが。明日歩の揺れない、力強い声色が。
 
 このゲームすごい面白い。序盤でこれとか……そりゃ話題になってたわけだ。

星メモプレイ日記2

 パスタを作るのに1時間以上も要するシェフ千波。おみまいするぞぉ!
 ……どうしてこうアピールしてくるんだ、このゲーム!
 千波について。
 兄にできることが、そしておそらく多くの人にできることが、自分は上手くできない。迷惑をかけてしまう悔しさと、力になれないもどかしさ。抱えた気持ちをごまかすために、ネタとして消化しようとしている……とか? そんな時に優しい言葉でフォローなんてされたらたまらない。それがわかっているからこそ、洋は厳しすぎるほどのツッコミを入れている、なんていうのは無茶な読みかな。
 それでも、洋の千波に対する愛情は人一倍だと思う。過保護といってもいい。もはやただ一人となってしまった、ともに過ごしてきた家族。
 
「この駅、ぜんぜん変わってないね」
 なんて言いながら、久しぶりに戻ってきた街を歩く兄妹。昼間に歩くのはこの日が初めて、ということなんだろう。きょろきょろを周りを確認しながら楽しそうに歩く千波に、洋が優しい目を向けてついていく様子が浮かんでくる。洋自身も、懐かしい風景に迎えられて、いくらか足取りは軽いはずだ。
 
 メイド姿の南星明日歩が登場。右手胸元で左手背中、このポーズずるい、可愛い……。天地魔闘の構えと呼ぼう。あと、ギャグシーンだからって、お店のマヨネーズを口にくわえさせるのはやめよう!
 
 メアに会うために夢見坂を上る洋。
 明日歩の怒った時の口癖であろう「○○なんだよ~!」の伸ばし方が妙に耳につく。
姫榊こさめ、こもも。なんらかの背景を知っていると思われる女性。ざっくりした配置が行われる。
 そして、ポロポロと涙をこぼしながら、嗚咽を洩らしながら、悪夢を刈るため鎌を振るうメア。きっとその細腕は震えていたはずだ。
 
「だってわたしは死神だもの……」
「悪夢を刈り取る死神だもの……」
 
 過去の思い出を悪夢と呼ぶこと。
 相手の大切な記憶を奪ってしまう罪悪感。けれど過去を捨ててこそ、未来に、前に進むことができる。だから泣きべそをかきながら強がりを言う。肯定せざるを得ない、記憶を刈り取る自分の存在理由。
 そういう要因からきているのかな。
 
 区切りがいいので今日はここまで。

『星空のメモリア』プレイ日記。

 数年前、まだ幼さが残っていたあの頃。おでこにキスを交わし合うような間柄の女の子がいた。彼はそれを「初恋ではなかった」などと言い、ゆえに「いまだ初恋を知らない」などと嘯いているが、実際のところはどうだったのだろうか。ともかく彼は、そんな思い出を過ごした街を去り、数年後に帰ってきた。
幼少期の数年間。膨大な時間だと思う。その時間は、彼の中の思い出を白い靄につつませるには十分すぎるほどで、けれども完全に見失ってしまうほど、その思い出は小さなものではなかったようで。
 彼はこうして坂を登っているようだ。約束の場所なんて、少女チックなセンチメンタリズムの胸に秘めながら。
 
 雲雀ヶ崎? の展望台。
 思い出の中の会話。白く流れる髪の下に琥珀色の瞳を輝かせる女の子は彼のことを「洋くん」と呼んだ。北の大地が生んだスーパースターの顔が頭をよぎったが、力いっぱい振り払う。確かに相当なロマンチストであるけれど、あの天然パーマでは、こう、なんというかイメージというものが……。
 女の子は「あたしのほうがお姉さん」と言った。星には興味深々といった様子、それなのに理科の授業で必ず習うであろう星の知識がないということは、病気などで学校にあまり通っていないということなのか。
「怖くないよ、うん、怖くない」
 このフレーズ、心地よさを感じる。
 
 僕に恋をしていたわけでもないだろうに。
 そう独白している洋(まだ慣れない。俺の中で、あの天パの存在は大きすぎる……)。けれども、彼女の意識はどうだっただろうか。子供っぽいと評している洋だったが、女性の方が精神的な成長は早く、大人びてくる。ましてや年上なのだ。彼女の態度は、いわゆる「意識している」ものでは。
 
 雲雀ヶ崎学園。坂の中腹にあるようだ。そういえば私の母校も山の上にあった。夏になるとスズメバチが飛び交う素晴らしいスポットだ。作中でも7月なので、虫が気になる季節ではある。
 
 ただの展望台にフェンスをつけてまで立ち入り禁止措置をとるか? 一部が崩れて危険な状態であるから? けれども迂回して入った先の展望台は、記憶の中のそれと変わっていなかった。だから彼女も変わらずそこで待っていた。変わっていたのは、彼女の衣装、そして物騒な持ち物だけだった。
 
 日付切り換え。
 洋の妹で、「千波」。大海原に千の波が白くさざめいている。漠然と、いい名前だと思った。髪留め、髪型、パジャマと、これでもかとうさぎ押し。あと音楽が某日曜アニメ。そしてコントが始まる。そのままHTBに行ってくれ。
さらっとしたテンションで母親が他界しており、父が不在であることが明かされる。叔母との3人暮らしとなるわけか。
 千波の怒るポイント、自分が洋の面倒を見ようとしているのか。
 しかしこの妹、お兄ちゃんに構ってほしいのと、迷惑かけちゃいけないのと、自分がしっかりしなくちゃいけないのが8:1:1くらいで混ざってる感じ、で取り扱ってもいいんだよね? 冒頭のしっとりした語り口から、唐突にコメディ調になって多少混乱する。まあ、この兄妹の関係性が常にこういう調子、ということなのかな。トラブルメーカー&構ってほしい千波が洋のもとに駆けていって、そこに厳しめのツッコミを入れつつもなんだかんだで妹が可愛くて構ってあげる洋という構図。こういう構図を、個別シナリオでどうやって壊しにいくか、もしくは壊さずに進めるのか。個別……あるよね?
 
 ──死神。
「あなたがそれで納得するなら、それでいいわ」
 では、実際のところ、メアと名乗る少女は何者なのか。
 見た目に反して大人びているメア。
 見た目に反して子供っぽい、思い出の彼女。
 どちらも、洋にとっての印象ではあるが。
「わたしは、人の悪夢を刈る死神だから」
 メアがしたという”洋の悪夢を刈る”約束。思い出の女の子と約束したとか? 自分との思い出を消して欲しいとか。ああ、そういうのは、本当に効くので出来ればやめてもらいたい……。
 
 お隣の蒼さん。今までの登場人物の中で、見た目がダントツトップであることを確認。
 そして夕食後、再度夢見坂をのぼる洋。諦めが悪い、けれども好感は持てる。
 
「聞くべきかどうか迷ったときは、聞かないべきよ」
 そのような質問は、相手の心のうちを覗いてしまう恐れがある。もしそうなってしまった時、そこには責任が生まれる。触れた心に寄り添う責任が生まれる。
そんな意味合いのことを饒舌に語るメア。一瞬見せた感情の起伏。メアという人格を構成する要素の一つなのか。
 
 時間がなくなったので今日はここまで。

結婚しました!

ただでさえ更新のスピードが遅いブログですが、ここ数ヶ月は式の準備やら新生活やらで、すっかりほったらかしになっていました。少しは落ち着いたので、近況報告いたします。
私事ではありますが、この6月に結婚しました。高校時代から10年ほど、恋人だったり友人だったりした相手です。良くも悪くもお互いを知りすぎているので、新婚感はあまり無いですが、それでも新しい生活というのは、白いキャンバスを前にした時のような高揚を感じますね。まだ何も決まっていない状態から、どんな未来を描くのか……と言えば大袈裟に聞こえますが、何てことはない、どんな家具を買うかというレベルでも二人で相談して決めていくのは楽しいです。もちろんお互いに譲れる部分やそうでない部分があって、楽しいことばかりというわけでは無いですが、すり合わせて行った結果、生活のリズムが安定してきたように感じます。
ところで、北村薫の円紫さんシリーズの中に『六月の花嫁』って話があって、俺はこいつが一番好きな話なんですよ。夜の蝉に入ってるやつですね。
わたしと円紫さんが喫茶店だかで談笑していて、雨が窓を叩いている。わたしはこの前出逢った不思議な出来事の話を聞かせる。円紫さんは、いつものように話を聞いただけで謎を解いてしまうわけですが、それだけではなかった。わたしが『その話をしようと思った理由』までをも当ててみせて、窓の外を見て、
「雨が、あがりましたね」
と言い、幕が下りる。
この下ろしかたや、物語の内容のあたたかさ、雨上がりにきらりと輝く窓外の想像、全てが琴線に触れてくる、宝物のような話なんです。
あやかる、ということを意識したわけではないのですが、からりと晴れた6月に結婚式を挙げる事ができて良かったです。

今後は、PCゲームについてはあまりプレイできる機会はないかもしれませんが、アニメやラノベは触れることが出来るので、語りたくなったら雑文を書いていこうと思います。とりあえず……山田エルフ先生ちゃん、可愛すぎません?

「りゅうおうのおしごと!」5巻を読んだ。

 タイトルのとおり。書きたいことはまとまっていないので、ざっと感触だけ。

 なんというか……それがプラスでもマイナスでも、この社会で人間が生きている以上、循環している流れみたいなものがあって、多かれ少なかれそれらの輪に誰しもが乗っている。家族とか、友人とか、職場とか、ネットとか、今日はじめて会話した奴でもいい。あー、でも二次元じゃ駄目だな。二次元から受け取ることはできても、たったのひとつも返すことはできない。二次元から三次元への矢印は、いつだって一方通行になってしまう。悲しいけれども、どうしようもない断絶がそこにはある。

 まあとにかくだ。人間が社会で生きていく以上、ほかの誰かから受け取るものがある。わかりやすく『感情』としよう。幸せや悲しみは伝染する、とはよくいったもので、幸せな気分の時に誰かを悲しませてやろうと考える奴は、そうそういないはずだ。逆に悲しい気分の時は、自分で発散できる奴もいれば、誰かに八つ当たりしてしまったりする奴もいる。今回の物語の中でもあったように、誰かのためにと思って行動したことが、うまく受け取ってもらえないということもある。そういう風に、正なり負なり、伝わっていくものがあって、みんなが流れの中に身を置いている。どこを選ぶかは、ある程度はその人の自由だ。

 べつに『だからみんな、他人を大切にしましょう。人は一人で生きているわけではないのですから』という話ではない。そんなことを諭すように言われたら、「しらねーよ、んな当たり前のことを何でえらそーに言われないといけねーんだよ。それで上手く回っていけば世界は平和ですねー」とかいって反発したくなる。だからこれは、そういうお話ではなく。

 『将棋盤を前にしたら棋士はみな一人』

 物語当初から八一が口にしていた事実。そこに、『けれども』をつける。ほかの誰でもない、史上最年少のタイトルホルダー、最強の竜王が。

 これは、そういう話。

 

 余談。

 表紙やら内容やら、ほんとに最終巻かと思った。ラノベで例えるならブギーポップの歪曲王の巻みたいな。変わるもの、変わらないものがあって、物語としてすげー綺麗にまとまっている。この作者とか、あと杉井光さんなんかはドラマチックな物語を書かせたら頭一つ抜けてる印象がある。あとがきを読んだらわかるとおり、この物語はまだ続いていくみたいで、次はどう展開させていくのか楽しみだなー。杉井さんもキリカの7巻書いてくれねーかな。

ひだまりスケッチ9巻の話とか。

 ひだまりスケッチ9巻を読み終わりました。昔はよく、4コマ漫画を何度も繰り返し読んでいたのですが、最近は一度読んだらケースに入れて、そのまま置きっぱなし、ということがほとんどになりました。ひだまりも、6巻くらいまでは比較的読んでたのが、それ以降はあまり記憶がない・・・・・・茉里ちゃん? ・・・・・・『結い橋』に出てきたエセ関西弁ヒロインですか?

 そういうことなので、俺が語ることといったら、やっぱりゆのっちのことになってしまいます。

 ゆのっちって、普通の女の子じゃないですか。いや、いきなり何を言い出すのかと思うかもしれませんが・・・・・・。底抜けに元気な子でもなく、かといって引っ込み思案で人づき合いが苦になる、というタイプでもない。いつもボケてるわけでもなければ、ひたすらつっこみに命をかけてるわけでもない。なんだろう、こう・・・・・・不安なことや、嫌なことがあると、ついついそのことばっかり頭の中でぐるぐる考えて、一人で抱え込んでしまうような。そしてそれが顔に出てしまうもんだから、周りの友達にも「ゆのっち、元気ないみたいだけど大丈夫?」と心配をしてもらって。本人としてはそんな自分が情けなくて、“私、いつもこんな事で悩んでばっかりで周りに迷惑かけて・・・・・・”とさらに沈んでしまったりもして、けれど宮ちゃん達に話を聞いてもらうだけでも心が少し軽くなる自分もいる、という。男から見たら『ちょっと面倒くさい』と感じる部分もあるような、普通の女の子なんですよ。

 そんなゆのっちなんですが、9巻を読んでいてつくづく思ったのは、周りに恵まれているなぁ、と。一番近くにいる──日々の生活の中でもっとも顔を合わせている時間の多いことを指すとして──宮子。毎回、ゆのの相談事を面倒がらずに聞き、時にはおもしろおかしくボケたりして。そういう、“いつも話を聞いてくれる人”が身近にいるということは、ゆのにとって何より幸福なことだったのではないかと。他の人達についても同様で、ゆのが悩み、答えを出す過程を妨げる人物がいない。むしろそっと背中をおしてあげることが出来るような人ばかり。

 まあ、周りに恵まれているのは、ゆのっちの人柄による部分も大きいのかもしれませんね。不安なこと、悩むことはたくさんあるかもしれないけれど、最後はきっと陽の当たる方──ひだまりへ進んでいくことができる。そういう歩き方のできる女の子だから、周りも安心して相談に乗ることができるのだと。なんというか・・・・・・ああ、あれだ。ゆのの笑顔に、やられてしまってるんでしょう。やばいですもんね、30ページ左2コマとか。あんな顔見たら、ずっと笑顔でいてほしいって思ってしまいますよね。

 そういう環境が続いてきたからこそ、ゆのが曲がることなく育ってきたんだよなぁ、とかしみじみと思ってました。いや父親かよ、と自分でも思いますが・・・・・・ゆのっちは可愛い。すごい可愛い。読んでいて床を転げたくなるくらいに可愛い。でも、だからといってつき合いたいとかそういうものでもない。そもそもゆのっちは恋愛とかまだよく分からないし、彼氏がフォローするべきところはすべて、宮ちゃんが完璧にこなしているし。修学旅行も友達と一緒に回って、とても楽しそうに観光してたし。周りの人達にもめぐまれていて、立ち止まることはあっても、きっと前へ進んでいけるだろうし。

 なら、いいじゃないですか、それで。

 かつての俺は、彼女達の日常の輝きに救いをもとめていました。ゆのっちの幸せや喜びがあるならば、自分の日常にそれがなくても別に構わないという・・・・・・よくわからない方法論を持っていました。不健全ではあったかもしれませんが、間違っている、というつもりはありません。きっと、それでしか得られない何かは、あったのでしょう。受けとりかたが、ひとつであるはずがない。

 けれど今はもう、そういう方法で受けとってはいない。受けとることが出来なくなった、と言ってしまってもいい。それは少し寂しいけれど、きっと、良かったと言われるべきことなのでしょう。

 だから今は、ゆの達が卒業するその時まで最後の一年間を、見守るような心持ちで読んでいます。

『ゆきこいめると』やってます。(感想のようなもの)

 というわけで、癒しを求めて、ゆきこいめるとに行き着きました。
 公式サイトはこのあたり。http://frontwing.jp/product/yukimel/index.html
 いつもながら、季節感をまったく無視したチョイスになってしまった。
 寒いのが大の苦手な主人公──陸崎瞠(おかざきみはる)──と、冬を満喫する部活動"ふゆ部"に所属する女の子たち。ふゆ部の部長である伊奈波うさぎは、みはるがふゆ部に入ってくれたら部活動がもっと楽しくなるだろうと思い、個性的な部員たちと共に彼を勧誘し始め──といった導入から始まるこのゲームは、非常に完成度の高いイチャラブゲーでした。
 
 いやーほんと、嘩音とたるひ可愛すぎます。ぶっちゃけ、八重歯で年下ろりっこ元気キャラがね、俺のストライクゾーンのど真ん中なわけですよ。そんなの、問答無用でフルスイングするじゃないですか……。たるひとかも、作者が考えた最強のかわいいキャラって感じで、しかもこの子のルートって主人公側がたるひにばりばりアプローチしていくって流れなんですよ。まだ途中までしかやってないですけど、「これ絶対初恋が実らなかったプレイヤーを殺しに来ますよね、いや、わかってるんですよ、でも無理フルスイングするしかないっ!」って感じで突き刺さってくる。
 雪姫にしろ、雫里にせよ、そういう「勝負しにいきたくなる球」という感があって、イチャラブゲーって、そう思わせることに重きを置いているじゃないですか。いや、4球とも見送らずに全力で勝負しようとしている俺が言っても全然恰好がつかないですがね。
 弁解するわけじゃないですけど、ずるいんですよ、このゲーム……。ふゆ部って独自の学生寮を持っていて、そこで男はみはるん一人、あとヒロイン4人とプラス2人の共同生活なわけです。エロゲ的なお約束は少ないほうだと思いますが、朝起きたら女性陣が並んで歯磨きとかしてるんですよ。たるひとか、もごもごしながら「おひゃよー……おととっ」とか言うんですよ……。しかも、口を濯ぐ時恥ずかしいからむこう向いてて、とか言うんですよ……。爆発するじゃないですか……。あと、たるひちゃん教室でアイコンタクトしてくるんですよ。みはるが近くに行って「どした?」って聞くと「あ……伝わった」とか言う。共通シナリオで、ですよ? もうね、こっちは冬空に霧散したらいいんですかね……。
 嘩音もですね、基本的に元気なあほっ子で癒されるんですよね、仕事終わって帰宅してゲーム起動したら、そこはもう癒し空間みたいな。「誰かといるほうが楽しいですよっ」と屈託なく笑う嘩音に、みはるも「まぁ、そうだな」とかまんざらでもなさそうに言いながらついていく。大好きな形なんですよ、そういうの。あとこの子、滅多にないですがほんとに時折、すごい優しい声出すんですよ。聞いたこっちが、はっ、となるような。あれ、ほんとすごいなぁ……。そんな元気いっぱいの嘩音さんなわけですが、(こんなに楽しいのに……先輩がいないっていうだけで、なんだか……今からでも来てくれないかなー……なんて思っちゃいます)とかいうモノローグかましてきてりもして。そして現れたみはるに飛びついて、こんなに寒い中、寒がりなみはるが自分の誘いに乗って出てきてくれたんだと思って、すげー笑顔をみせる……もうね……。
 
 だらだらと書いてしまいましたが、きりがなくなりそうなのでこのくらいで。どれほどやられたのかが自分でもよくわかりますね……。いやー、このゲームほんとに好きだ。
 共通シナリオの時点でとんでもない破壊力を持ったシーンが満載で、個別ルートではこれからどう進展するのか、と思わせる力が非常に強い。しかもこのゲーム、選択肢って個別の終わりにルート選択があるくらいで、ほとんど分岐しない構造になってるんですよ。選択肢がないってことは、その部分の流れは物語上、確定してるってことじゃないですか。個別になると分岐するけれども、それまでの出来事は、すべて等しく"確かにあったこと"で、みはるたちが共に過ごした日々なんです。それは、嘩音ルートでも語られる"この前の夏、ふゆ部の皆で海に行こうとした時に買った水着"とか、"秋に先生に教えてもらった屋台のラーメン"といった所でも感じとれる。しかも、海に行こうとしたけれど、先生が牡蠣にあたったり、雫里さんが夏バテして中止になった、というエピソードまであったらしく……その話が、ああ想像できるなぁと納得できる。物語上の季節は冬だけれども、その前の秋や夏も、確かにあったのだと感じられる。それはつまり、積み重ねられた時間があるってことに他ならない。
 
 ここを読んだ方で未プレイなら、ぜひ購入して悶えながら読みすすめてもらいたい。自信を持って、そう強く勧めることの出来るゲームです。