はじめのはじめ

二次元傾倒な日々。

星メモ衣鈴シナリオについて。

 衣鈴シナリオ読了。
 一言でいうと、納得いかない! このシナリオは衣鈴のためにあるべきなんじゃないの? 後半の流れ、あれって完全に千波シナリオへの布石だよね。レンという存在と、千波の行動原理。そのために、徐々に薄れていくはずだった──本来は刈る必要のなかった──衣鈴の想い出をメアに刈らせたんだとしか思えなかった。
 明日歩シナリオはメアが想い出を刈ることに意味があったし、またそうするしかない状態だった。けれど、衣鈴は違うだろう。洋は本当に多くの人の助けを借りて、衣鈴の手をつかむことができた。衣鈴はようやく自分の居場所を見つけて、後はふたりで過ごしていくうちに想い出は風化していくはずだった。今すぐには無理でも、いつかは洋に望遠鏡を修理してもらっただろうし、天クルにも徐々に馴染んでいっただろう。その緩やかな解毒を、あの一瞬で台無しにしたとしか思えない。そしてそれは、少なくとも衣鈴のためではなかったと思う。俺にはそれがどうしても納得いかない。
 子供として描写されてきた衣鈴が、自分から前に進む。そういうシナリオだったら、まだ納得できた。実際俺は、共通ルートあたりで「ここまで子供として描写されている衣鈴の個別シナリオでは、オーソドックスに衣鈴の成長が描かれるのかな」とか思ってた。けれどそれは無かった。頑張ったのは結局千波だった。一歩踏み出した状態から拒絶されて、それでもさらにもう一歩を踏み出したのは、千波だった。これ衣鈴シナリオだよね?
 あるいは、上で「ゆるやかな解毒」という言葉を使ったけれど、必ずそうならないと納得できないというわけでもない。衣鈴が子供のまま「洋先輩だけいれば他の誰もいらない、この世界に認めてもらえなくてもいい」とか言って、ふたりでマヨイガに行ったとしても俺はそれでいいんだ。だってそれは洋と衣鈴の問題だから。ふたりが幸せになる方法がそれしかないんだったら、上等じゃねーか世界がどうした、鈴葉や千波がどうした。……まあ、この二人の場合は、そういう選択をしないことは明白なのだけれど。告白シーン、プラネタリウムで叫んだ衣鈴の言葉は、彼女がずっと抱え続けて、けれど今まで誰にも打ち明けることのできなかった想いなんだろうから。そのくらい、友達も、家族も、大切にしていたということなんだろうから。
 
 あー、文句ばっかり言ってもだめだ。実際、個別シナリオ中盤までは本当に楽しかった。
 
「私……変です……」
「変になりました……」
「先輩の……せいですから……」
「先輩が……悪いんですから……」
 俺は、蒼さんの手を取った。
 大きな震えが伝わった。
「じゃあ、一緒に行こう」
 蒼さんはうつむいたまま、さらにこくっとうなずいた。
 
 ここの衣鈴とか脳がしびれるくらい可愛いし、その後の初せっくすのシーンなんかも「君はあれかい? 初めてのせっくすは野外でしなければならないっていう家訓でもあるのかい?」とか言って爆笑しながら読み始めて、けれどそういう行為に入った時の、健気な衣鈴の姿に思わず目頭が熱くなるし。久しぶりだった、えっちシーンで泣きそうになったの。
 個人的に衣鈴シナリオに期待していた、これまで距離をとっていた洋に対して、180度方向転換してべったり依存する衣鈴、という姿が見れたので、その点は良かった。もっとボリュームがあればなお良かった。
 うん、メアが衣鈴の想い出を刈り取るまでは本当に好みの展開だった。夜の学校に天体観測しに行くシーン。千波と鈴葉が仲良く手をつないで歩いている。その姿を後ろから見つめながら洋と衣鈴が寄り添って歩く。今まで衣鈴が誰にも渡さずに抱えていた望遠鏡は、荷物持ちの洋が抱えている。ここの絵、イベントCGにはなっていないけど、間違いなく衣鈴シナリオの最高に美しいシーンだと思う。だからこそ、続くシーンに納得できなかったのかもしれない。
 ……どうにも冷静じゃない。まあ、気を取り直して、次はこももシナリオへ進んで行こう。

星メモ日記10。衣鈴シナリオその1。

 仕事の部署がこの4月から異動になった関係で最近まったくプレイできていなかった星メモだけど、少しは時間の余裕ができたのでやっていこう。前回明日歩シナリオが終わったので、次は衣鈴シナリオへ。軽く調べてみたら千波とこさめは最初はロックがかかっているみたい。
 既読スキップを使ったら個別まで一直線だった。ちょっと忘れているところもあるので、プレイしながら衣鈴ってどんな女の子だったかを思い出していく。
 
 二学期開始。
 以前は朝制服に着替える時に脱いだパジャマをベッドに脱ぎ捨てたままにしていたという衣鈴。このライターの人は、こういう生々しい描写をタイミングよく入れるということが本当に上手いと思う。この一文だけで、蒼衣鈴という女の子をよく表現している。他人にはしっかりしているように見せてはいるけど、見えていないところでは結構ずぼらで子供っぽい。朝ごはんを食べ、登校の準備をする時間を削って少しでも長く寝ていたいという、そんな齢相応の女の子。確か以前の日記でも、子供っぽいとかそんなことを書いたと思うけど、そのあたりを再確認できた。
 「この国は窮屈」とひとり呟き、今の状況を変える何かを期待するように、タロットカードで占いをする。良い結果が出るまで繰り返されるそれは、衣鈴にとって現状と向き合う──今の日常に意味を求めず流されるように過ごすことを「向き合う」と言ってしまってもいいかはわからないが──ために必要な手順なんだろう。タロットの結果は良いものだったから。だからこの日常を越えた先で、また想い出の星空の下に行くことができる。傷つかないための予防線を張る儀式。
 
「私に構わないでください」
 あーこういう女の子ずるいだろ……。そんなこと言っているくせに、やっているのは“見えない星空を見るために望遠鏡を覗く”という行為で。ただ、それでも彼女が悪く映らないのは、自分から“構ってほしい”雰囲気を出しているわけではないから。このシナリオは、距離をとっている衣鈴に対して、洋がどうやって近づいていくかという流れになるはずで。その距離はきっと徐々に近づいているだろうが、ある程度進んでしまうと本質的な断絶がある。それは当然、南天の星空の想い出に関係している。だから彼女はいまだに、学校の屋上で独り望遠鏡を覗いているんだろう。その周りに洋たちがいるけれど、彼女はまだ独りぼっちの迷子なんだ。
 洋は衣鈴のことを「想い出の星空が好きだから」天体観測をしていると思っているみたいだけど、そうじゃないことは本人から聞いてなかったかな? あれは共通じゃなくて明日歩シナリオだったか? 彼女が望遠鏡を覗く行為は、天体観測をしているというよりはむしろ、タロットカードで占いをすることと近いはず。期待を込めた儀式の、その手順のひとつ。
 
 ブラと初潮の話を紳士の目で見ています。俺には興味がありません。はい。衣鈴に「死んだらいいと思います」って言われたい……。
 
 あれ、この望遠鏡ってそういうことなのか? 実は見えていないとか、鏡筒に何か入っているとかいう伏線だったりする?
 屋上でのタロット占いで衣鈴が「星」の正位置を引くシーン。何気なく描写されてるけど、泣きそうになった。天クルが部活である以上──いや、すべての関係性に言えるが──いつかは別れがあることを不意に気づいてしまって、寂しさをごまかすように帰ってしまった衣鈴。けれど、そんな未来にも、星々は輝いているはずで。その一つに、天クルの部長として慣れない勧誘を頑張っている衣鈴の姿があったりして。
 
「もしかしたら、雲雀ヶ崎で見えるような、こんな南天の星空で満足しているのかもしれません」
 主役ではなく、脇役の星空で。この台詞の意図は、正直よくわからなかった。衣鈴はどういう気持ちでこの言葉を口に出したんだろう。少し読み進めた先で、衣鈴がオーストラリアから日本へ引っ越してきた理由は、体の弱い鈴葉にとって住みやすい環境の街へ移るためだったと明かされる。そういうことなら、衣鈴は家の中でも「オーストラリアへ帰りたい」なんて言えるわけがないし、この引っ越しも仕方ないと思わざるを得ないはずだ。当たり前の空間を作ってしまうと、それを失った時の悲しみは計り知れない。けれど、鈴葉にそれを知られて悲しい顔をさせるわけにはいかないし、そんなことは望んでもいない。だから、自分は地平線の彼方にわずかに見える南天の星々が見れたら満足なんだ。……上の台詞の意味は、そういうところなんだろうか。
 科学館にて。
 様々な人たちに協力してもらい、洋は衣鈴の手をとることができた。この類の女の子の場合って、一度近づいたら依存するくらいべったりになったりすることも多いと思うけど、この先そういう展開になったりするのかな! 楽しみにしてもいいのかな!
 科学館の館長が洋の父親だという、ものすごい事実ぶちこまれたけど、とりあえず今日はここまで!

星メモ感想。南星明日歩について。

 明日歩シナリオ読了。いやー、面白い!
 共通部分では元気のいい、ワンコのようなヒロインとして描かれている彼女だけれど、個別シナリオでは一転して、様々な不安を抱えているところや実は泣き虫なところが明かされていく。
 明日歩のことを語る上で重要になってくるのが、洋と同じく、いやそれ以上に昔の大切な想い出を抱えているということだろう。子供のころの、洋に対する初恋の想い出。ヒバリ校で再開したことにより、明日歩はその想い出をより大事に抱え込み、洋への想いを募らせていくことになる。
 けれど、それと同時に明日歩の中で、ある負い目も大きくなっていく。自分は、洋の想い出の大切な要素である展望台の彼女の名前──”夢”という、また何とも象徴的な名前らしい──を知っている。けれど、それを渡してしまうと、洋はきっと展望台の彼女を追いかけていってしまう。自分にとっての初恋の相手が洋であるように、彼にとっての初恋の相手は夢なのだから。自分の初恋は、成就しなくなってしまう。
 洋と過ごす学園生活は、明日歩にとって何にも代えがたい幸せな時間であるとともに、そうであるが故に負い目を重くさせるものだったはずだ。日に日に高まっていく恋愛感情と負い目。それが臨界点を超えた結果が、合宿での告白だった。あのシーン、明日歩は洋に振ってもらうために、自分の初恋を終わらせるために告白している。つまりそれは、恋愛感情が溢れた結果という告白の本来の意図以外に、自分の負い目を清算してしまいたいという側面もあったということだ。むしろ、その側面こそが彼女にとっての表面だった。だから明日歩の告白は、あんなに痛ましく映る。
「洋ちゃんは、あたしをフらなきゃいけないんだよ……」
 自分の想いを受け止めてもらえたのに、明日歩の口から出てくるのはそんな言葉で。そう、そんな明日歩の思惑とは異なり、告白は「成功」してしまったのだ。
 きっと、南星明日歩という女の子は、自分の想い出の強度と洋の想い出のそれを同一化してしまっている。自分がこんなに洋の事を想っているのだから、洋もきっと夢の事を想っているに違いない。そんな風に。
「想い出は、想い出だよ」
「洋ちゃんだって、そうなんだよね……」
 けれど──、と続くだろうその言葉は、物語中盤での明日歩の言葉。自分たちは、お互い忘れられない大切な想い出を抱えているのだと。思えば、明日歩が洋に対して仲間意識──互いの家が母子家庭、父子家庭だというもの──を感じたという幼少期から、それは始まっていたのかもしれない。そして、決定的な要因となったのは、言わずもがな引き出しにしまい込んだ洋の短冊だ。
 話をもどして。明日歩の初恋は成就した。それは洋の初恋──便宜上そう書いたけど、あくまで明日歩が思い込んだもの──の終焉を意味する。この問題は、初恋の成就という衝撃と、その後のカップル生活のおかげで水面下に隠れてしまったが、決して解決したわけではなかった。また、本来解決のしようがない問題だった。上述したように、片方を立てれば片方は立たない。仲間意識をもった彼女らが抱えた想い出は、そういう性質のものだったから。
 展望台で、洋が明日歩の難聴を指摘した時。最初おれは、明日歩の反応の理由がよくわからなかった。けれどこうして考えてみると、あれは水面下に隠れていた負い目が顔を出しただけだったのだろう。洋に対して隠し事をしていたということと、展望台という夢に関わるロケーション。この幸せなカップル生活は、自分が洋の大切な想い出を鍵をかけてしまい込んでしまっているから。それは想い出を大切にしてきた明日歩にとって、許されないことだった。
 
 この物語の妙は、明日歩と洋が結ばれるためには、明日歩が初恋を終わらせる必要があった、という点だろう。そして、その初恋の相手が洋だという矛盾。洋と明日歩は、本来どうしようもなかったのだ。メアという、悪夢を刈り取る自称死神がいなければ。
 あの屋上でメアが刈り取った悪夢は、まぎれもなく明日歩の初恋だったはずだ。洋の名前を忘れないようにと、大事に大事にしまいこんだ短冊。けれどそこからは、洋が夢に向けた感情も痛いほど伝わってきてしまう。そんな短冊が霧散したのは、明日歩が抱え込んでいた──または縛られていた──初恋の想い出が刈り取られたということ。
 だからこれは、昔の初恋を叶えた物語ではなくて。初恋を終わらせて、新しい恋を叶えた物語なのだろう。ただ、恋した相手が同じだったというだけで。周りにとっては無意味に見えて、実際無意味で……けれど二人にとってその過程は大きな意味を持っている。それがもう、たまらなく好きだ。

星メモ日記9。あるいは明日歩シナリオその1。

 カップルはね、恥ずかしいものなんだよ。だからこれで合ってるんだよ。
 合宿2日目、カップル1日目の洋と明日歩を見ていたら、そんな言葉が浮かんできた。多分エロゲの誰かの言葉なんだけど、まったく思い出せないし、細部のきっと違っているはず。言葉が表す二人の関係性──同じカップルでも、相手への距離感、性格、温度など──は、違っていて当然だ。けれどね、見ていて「いいぞ、もっとやれ!」って気持ちが湧き出てくる場合があったりして。なんというか、当事者もそれを見てるこっちも恥ずかしくなるようないちゃいちゃぶりをして、それを開き直って、どうだ恥ずかしいだろうこれがカップルだ! って言って笑ってほしい。洋と明日歩の二人は、そんなふうに、無条件で祝福して肯定したい。……最近エロゲやってなかったから、その反動がきてるのかな? 珍しい心境だ……。
 
 父親らしいことがひとつくらいはできた──なんて、冗談めかして喋っているけれど。そんなに卑下する必要は、ないんですよ。だって明日歩は、天文学者だったあなたの星物語を聞いて、星が大好きになったんだから。親が嫌いだったら店だって手伝わないし、喫茶店のメニューを大好きな星々の神話からとったりしない。
 
 洋と明日歩の初デート。
 ふたりが向かった先が雲雀ヶ崎観光っていうのがね。しっくりくるというか、相応しいというか。地元のはずなのに初めて訪れる場所が多い洋と、展望台以外の雲雀ヶ崎も大切な想い出にしてもらいたかった明日歩。こんなにも幸せな時間を過ごす二人は、だから、”あの日、雨が降ってくれてよかった”なんて思ったりしたはずだ。初めての雲雀ヶ崎観光が、初デートで良かったと。
 初めてが野外でしかも学校の屋上って……君たち! いくら星好きだからって……君たち!
 俺が「いいぞ、もっとやれ!」って言ったのはいちゃらぶについてであって、野外セックスの話じゃないんだよー。もっと砂糖吐き出すくらいに初々しいデートしてくれぇ、くっついて星見して秋のロマンチックな星座の話とかしてキスしたりしてくれぇ……。そりゃこさめさんもたしなめるってなもんですわ!
 
 洋が明日歩のおでこにキスするシーン。もうちょっと余韻を持たせてもらいたかった。洋にとってそのキスは意味のあるものだったじゃないか。まあ、それを気にせずにできた洋に安心するけれどさ。すぐに、左側にいる明日歩っていうシーンに繋げたらもったいないかなぁ。だって、この左側にいる明日歩が洋の言葉に反応しなかったシーンって、明日歩の右耳が聞こえていないとかの伏線なんだろう。そう考えると、その伏線の上に、顔を近づけすぎる癖とか、雨警報の耳鳴りの話が奇麗に乗ってくる。
 
 千波。
 この語りは、ずるいよ……こんなの泣くだろ……。
 洋と千波のバックボーンは、多分個別シナリオで明かされるのだろうけれど、この涙はさぁ! なかなかいないですよ、個別シナリオ入ってお兄ちゃんが誰かと付き合ったと知った時に「お兄ちゃんの妹でよかった、ずっと一緒にいられるもん」みたいなことを笑顔で泣きながら言う妹って……。お母さんの墓参りの時でも洋の前で泣かなかった千波がさ、ここで真正面から泣くとかさぁ……やられた……。

星メモ日記8

 登校日。屋上での初めての天クル天体観測
「想い出の星空が、好きなんだよな」
「……はい」
「ほかの星空は、好きになれないか?」
 洋は勘違いしている、という衣鈴。自分は星が好きだから、想い出の星空が好きになったわけではない。だから星が好きな人達の集まりである天クルには、相応しくないと。
 けれど洋たちは言う。それでもいいのだ、感謝している、と。それは無意識──洋は意識しているが──ではあるのだろうけれど、衣鈴に居場所を提供している。そして、無意識であるからこそ、そこに作り物めいた空気は存在しない。だから衣鈴は、とまどいながらも拒絶しないのだろう。
 
 こもも。母親や妹といった、自分のもっとも身近といっていいだろう人間が、自分の嫌いなものを好んでいるという状況は、非常に苦しいものなのだろう。こもも自身は、嫌いになった理由は浮かばない──生理的嫌悪というものか──と言っているが、真相はどうだろう?
 
 お盆の話。
 千波が倒れる事件だけど、シリアスの描写とエピソードとしての長さがかみ合っていないと思った。肩すかしというか、洋がどれほど千波を大切にしているかを表現したかったのだろうけれど、それはこれまでの様子でわかりきっていることで。まあ洋の混乱は良いとしても、衣鈴と鈴葉の視点は完全に不必要だったかなぁ。お見舞いのシーンで表すほうが自然なのでは。
 
 こさめとの対峙。
 「隕鉄」、すなわち隕石と。星天宮なんて名前がつけられていることから、あのご神体も隕石なのだろう。隕石が持つ何らかのエネルギーによって、夢幻が生まれたり、消滅したりする、という設定なのかな。しっかし、こさめの「人間でないもの」に対する態度は、どこからきているのだろうか。そこに在ってはいけないから、一秒でも早く消す必要があるから。こさめ自身はそんなことを望んでいるわけではない──と、こももは語る──にもかかわらず、そうしなければならなかった。ある種の、使命とかそういう言葉で表せそうな。
 「夢幻」でもそこに在るということ。そういうものへの態度、心の在り方。友達ということ。これからは、そのあたりに焦点を当てて、物語が進んでいくのかな。
 
 夏休み明け。明日歩と二人きりの登校。
 冒頭の明日歩視点からすると、個別シナリオに入った?
 それぞれの七夕の短冊と、それぞれの大切な想い出。
 あー、明日歩シナリオなら仕方ないけれど、こもも誘われた生徒会を断るのは、きついなぁ……。こももの力になりたい……。
 
 気持ちを切り換え、明日歩シナリオを読み進める。
「明日歩と星見をしたいからだ」
「優しいね」
 おお、距離の取り方が不安定になってきているなぁ。自分の抱えた想い出の膨らみと同じか、それ以上のものを洋も抱えていると思い込んでいる。絶対にかないっこないと諦めている。そんな自分は、臆病なんだという自覚も持ってしまっている。そして……そういう自分は周りを困らせるからと押し込めて、明るい笑顔を見せている。
 なんてめんどくさくて、もどかしくて、愛しいんだろう。
 
 天文学者だった父親に語ってもらった星物語の影響で、星が好きになった、と語る明日歩。けれどその父親は、星座の神話を忘れてしまった、と言葉を濁す。天文学者をやめて喫茶店のマスターへ。そういえば、この喫茶店の名前とメニューの名前を強引に決めたのって、明日歩だったか? 
 ただの星好きから決めたわけではなくて、当時の父親の様子を見て、なんとかしようと行動した結果とかなんだろうなぁ。
 
 土曜日、明日歩三昧の日。
 歩く時いつも右隣を歩く明日歩。彼女がつけている星型の髪飾り。ダブルスター。そのあたり、なにか意識しているのかな。むむむ……星の神話は全然知らないから、察することもできない。
 
 合宿初日。
 星空は、夏の星座から、秋の星座へ。象徴的に、効果的に。
 ああ。季節はめぐり、星空は回り、想いは募る。
 幸せな気分で、キリもよさそうなので、今日はここまで。

星メモ日記7

 明日歩と通う補習授業2日目。
 
 総一朗と万夜花と詩乃。明日歩とこさめと洋。そして、都市伝説の死神。こういう描写って、鼻につくものとそうでないものがあって、今回はどうなるだろう。天クルとして活動する洋たちを見守る時の彼らの目が、過去を懐かしむ色を見せるとき、そこに心残りを感じるのは気のせいだろうか。
 
 海水浴にて。
 エロゲの海水浴イベントって久しぶりに見た気がする。プールとかで水着イベントを行うシナリオが増えたのではないか。着替えから真っ先に戻ってきた明日歩。なんだろ、明日歩って「服の下に直接水着を着てきたからね! 着替えっていっても脱ぐだけなんだよ」とか言いそう。
 あ、こももがナチュラルに「どけて」とか方言を使ってる。
 
「男子と一緒にボート乗るの、やってみたかったの……」
 明日歩ほんとうに積極的だなぁ。無理してない? ちょっとだけ危うさを感じて、不安になる。けれど、恥ずかしながらも幸せそうなので、良いのだろうか。でも千波、これ気づいてたよなぁ……。
 
 境内にて。
 直前のこさめと雪菜の会話から一転、こももと洋の会話へ。「今日、最高気温が何度か知ってる?」とか喋りながら、生真面目に、やる気無さそうに、ひしゃくで水を撒く。うだるような暑さの中で、当事者たちには悪いかもしれないけれど、その光景はなんだか落ち着いた気持ちにさせてくれる。 こさめと雪菜の会話が、終始駆け引きという印象を受けるものだったのに対して、こももと洋の会話は、明瞭な言葉のやりとりで。踏み込まない一線はあるのだけれど、そこには高度な駆け引きは無くて、ただ相手に言いたくないから言わないという、ごく自然な感情にもとづくもの。はぁ~、落ち着く。
 
 なんかよくわからん生命体が出てきた。ドラゴンみたいな見た目で火とか吐く。俺はもうだめだ。メアに躾けられます。その座は譲らん!
 
 展望台にて。
 こさめがようやく自分の感情というものを表してきた。「こもものためなら、他のものを切り捨てても仕方がない」という覚悟がある、というような危うさを持っている。上述した明日歩の危うさとはまったく違う性質のそれは、例えるなら、本来立ち位置として安定してはいけないところで、けれど安定してしまっているような。それを支えているものとはなんだろうなぁ。自己満足と自己犠牲……とかいう雰囲気がにじみ出ていて、やりづらいなぁ。

星メモ日記6

 明日歩と通う補習授業が始まった。
「あたしはね、結局、星を見上げられるんだったらそれでいいのかもしれない」
 おい、この子ほんとに勝手なこと言い出したよ!
 そりゃ自分の大切な想い出の中の洋は、頭でっかちで友達がいないような子供だったのに、久しぶりに再会したと思ったら他の女の子のために一生懸命駆け回るようなカッコいい男になってたから、「誰かにとられちゃうかもしれない!」って焦る気持ちと、「自分のためにもこんなに頑張ってくれるのかな?」とか期待してしまう気持ちが合わさって、わちゃわちゃになってしまうのかもしれないけどさ。
 そんな気持ちを言い繕った台詞が、
「あたしとふたりじゃ、嫌なのかなって……」
 というものだったのだと思う。
 しかし、ほんと見ていてびっくりするくらいグイグイ攻めてくるなぁ! 
 きっと内面はすごく不安定になってるはずで、つまり明日歩可愛い。
 
 巫女! 巫女が出たぞぉぉ! この巫女、水ぶっかけてくる時にすごい楽しそうな顔するなぁ。子供っぽさが感じられていい! あと真面目だけれど気だるげな感じなのも逆にいい! 萌える!
 昼は姫榊家族、夕方は南星家族、家に帰ってからは蒼姉妹と小河坂ファミリー、夜はそのままメアも合わせて星見。賑やかであたたかくてしあわせな……本当に幸せな一日。
 今日はあまり読み進める時間がとれなかったけれど、それでもこの幸せな一日を見ることが出来てよかった。