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はじめのはじめ

二次元傾倒な日々。

幼なじみ、はじめました。

ぱわーおぶすまいる、二巻まで読み終わりました。

某氏が面白いと言っていたので買ってみたのですが、読む前に、タイトルから少し思うところがあって。無邪気な女の子が笑顔の力でぐいぐい主人公を引っ張っていく、そんな物語を書くシナリオライターが、ふと頭をよぎってしまいました。

結果、この漫画の作者も影響を受けたのかな、なんてバカみたいな想像をしながら読むことになりました。そのため、若干、独りよがりな感想になっているかもしれません。

 

 

 

 『幼なじみ学園コメディ』と一巻の帯にあるように、この物語は篠華まゆと、その幼なじみ蒼葉宗馬を中心に回っていきます。要約すると、幼なじみの男女が仲睦まじいままに高校生となり、傍目からは付き合っているんじゃないかと勘繰られるほどペタペタしながら、クラスメイトの虎道環、上山景佑、叢園寺観久らと、平凡だけどかけがえのない日々を過ごす……という構造としてはよく見かけるものであって。それでも心に突き刺さったのは、幼なじみの一つのかたちが誠実に書かれていると思ったからかもしれません。だからこうやって、慣れない文章を書いて、何らかのものを残そうとしている。

 

 なんて、恰好をつけて書きだしていますが、要はまゆさんとそーちゃんにやられてしまったわけです。だって、一巻の冒頭から『そーちゃん』と、ちゃん付け呼びですよ! そりゃあ幼なじみ好きとしてはたまりませんわ。まゆさんがちゃんをつけて呼ぶ男子は宗馬だけなんです。宗馬が名前を呼びすてにする女の子は、家族以外ではまゆさんだけなんですよ。ずっと昔から二人の間では普通のことで、それは高校生になるまで変わることはなかったのでしょう。そのことが二巻の某エピソードで関わってきます。

 まあ、その話は置いておくとして。まずは篠華まゆについて。

 

 

 篠華まゆ。一人称、まゆさん。無邪気なワンコ。嫉妬深い……というよりは恋愛感情を意識しておらず、宗馬が少しでも別の女の子のことを考えると、構ってほしいアピールをする可愛い。頭を撫でられることが好き、というより宗馬の手をとって撫でさせる可愛い。 

と、羅列しましたが、一貫してワンコとして描かれています。表情と感情が直結していて、悲しい時にポロポロ泣いて、怒った時にぷくっと膨れ、嬉しい時には満面の笑顔。宗馬に撫でられたり褒められたりした時にデレデレとにやける仕草は、もはや尻尾をパタパタさせた犬そのもので、とんでもなく可愛いです。

 しっかし、彼女の恥じらいポイントがよくわからない。寝起きにはだけた胸元はダメ、お風呂上りのバスタオル姿はオッケー、お姫様抱っこに至っては大喜び。宗馬君、太ももに直接手を添えてますよ……!

 余談。一人称がまゆさんと、少し変わっていることについてですが、宗馬の過去エピソードのこともあり、彼のお姉さんになって支えようとした際に自分で言ったものが定着したんじゃないかなー、などと思ったり。実際に宗馬が、彼女に救われたことは言うまでもないことでしょう。

 

 

 蒼葉宗馬。家事の出来ない妹と母あり。そのため家の家事全般を行う内に、のめり込んでしまう、というこれまたよく見かける人物。まゆさんの新しい服に気づき、似合っていると言ってあげることのできる男の子。まゆさんとは異なり、彼女を思いきり異性として認識していますが、恋愛対象という一線を越えられず『まゆのお父さん』を自認──悪い言い方をするなら逃げ道に──しています。泣く子には勝てない、といいますか。目を潤ませたまゆがお願いすると、どんなことでも断ることができないその心に賞賛を。

 

 

 と、こんな二人がですよ。人目のあるなしに関わらずいちゃいちゃしていたら、そりゃこっちはもうだめです。部屋の中を転がりまわりながら──わりと日常茶飯事ではあるが──、うぎゃーっ、と奇声を発することしかできません。そしてその後、悟ったような顔で「ああ、捨てたもんじゃないな……」などと恥ずかしい独り言をいうおっさんを許してください。むしろ幼なじみください。

 以下、とりとめもない雑感です。

 

 

 

 一巻75ページからの、お好み焼きの話。

宗馬が冒頭から美味いと言っているのを気にしたのか、お好み焼きの作り方を教わるまゆさん。出ましたよ、幼なじみの『あーん』が。結局、二巻までを通して、宗馬は蒼葉家、篠華家の人からの『あーん』しか受けていないと思います。それは、泣く子モードのまゆさんには勝てないということなのでしょうか。まあ、他の人がしようとすると彼女が邪魔するためでしょうが。逆を言えば、家族までがまゆさんの許せるラインなのかもしれません。

 しかし、宗馬は極力まゆさんを独占しようとしない──独占したいという感情のあるなしは別として──のに対して、まゆさんは宗馬を独占しようとしていますね。それは自覚なしの恋愛感情もあるだろうけれど、幼い頃の約束によって、ずっと宗馬の側にいようとしているから、とも考えられます。

 話がそれましたが、この回、最後にまゆさんは「お好み焼きホントにおいしかった……?」と聞いています。らしくもないこの仕草は、75ページで宗馬に聞いた答えが、彼女の期待するものではなかったからでしょうか。もしくは『あーん』を邪魔するために間に入って食べた観久のお好み焼きが、あまりにおいしかったから? けれど、そこで頭を撫でて、からからと笑いながら「日本一だった!」と返せる蒼葉が、彼女の幼なじみで本当によかった。ことお好み焼きの味で、蒼葉の日本一がどれだけの言葉であるのかを考えると、そしてそれを満面の笑顔で言える蒼葉を見ると。ああ、やっぱりこの漫画は特別だなぁと思います。後に続く最後の4コマも、綺麗にしまっています。

 

 

お好み焼きの次、83ページからのまゆさんコントローラーの話。

宗馬の股の間に、ぽすん、と腰を下ろし「まゆさんコントローラーっ(はあと)」とかね、「そーちゃんがまゆさんを動かす事でまるでまゆさんが動かしているような気分になる作戦っ!!」(長い……)とかね……。もう完全に殺しにきてますよね。息の根止めにきてますよねっ。

 そこでまた宗馬が思うんですよ、「あ……コイツの体ってこんなに細かったんだな……」とか! なんですかこれは! 股の間におさまってしまう小さな体だとか、結んだおさげの間の細い首筋だとか、すべすべした白い肌の手触りだとか。ほのかに香る女の子特有の、いい香りだとか。そんなものを感じてるんですよ、幼なじみの体に! ぎゃー!

 そしてご褒美としての膝枕耳かきですよ。あの蒼葉が、素直に、従ったのです。泣く子モード無しに。なにが「何か……幸せかもしれない……」だ! 

俺にも太ももの感触を分けてください。というかこんな幼なじみをください。

 

 

 

最後に二巻の喧嘩について。

観久と宗馬が一緒にお風呂に入っているところを、まゆさんが目撃したことから始まった二巻のクライマックスのお話。いつものようにまゆさんが怒り、蒼葉が謝って頭を撫でて解決、とはならなかった。やはり大きなポイントは、『篠華』と蒼葉に言われたことだったんでしょう。蒼葉もまゆさんに『蒼葉くん』と呼ばれることがスイッチとなった。今まで彼女に本気で怒っていなかった蒼葉がムキになってしまうほど。

上の方の文でも触れましたが、きっと二人の中で、『まゆ』と『そーちゃん』は、他に変えられないほどに動かし難いものだったのでしょう。だからこそ、二人はあそこまで頑なだったし、仲直りの際の『まゆ』という呼び方に反応した。手と手を繋いで、歓声の中、満面の笑顔のまゆさんに引っ張られるようにゴールする二人。

続くエピソードが、仲直りのしるしとして、まゆさんが蒼葉にお手製ケーキをふるまうというのもいいなぁ……。そこでもまた『あーん』登場。もう、げんかいですよ……。

そして結びの4コマで彼女が言っている「明日はまゆさんが起こしてあげよっか!」は、きっと、喧嘩の最中に蒼葉に言われた「もう絶対に朝起こしてやらないからな!!」を受けて、朝起こしてもらえる幸せに気づいたから。

 

さて、三巻の冒頭では、まゆさんは蒼葉を起こしに行くことができるのでしょうか。先が非常に楽しみな作品です。