はじめのはじめ

二次元傾倒な日々。

『ハクメイとミコチ』の話とか。

 先日、地元では大きい部類に入る書店に行った時のことです。

 以前から買おう買おうと思っていた『坂の上の雲』の1、2巻を手に取り、そのままぶらぶらと漫画コーナーで面白そうな本を探していた私の目に、興味深い帯が入り込んできました。

 

 森の奥で暮らす、ふたりの小さな女の子。

身長はわずか9センチメートル。

 

 なるほど、確かに私は小さい女の子が好きです。お姉さんよりも妹に優しくするのは当然ですし、高校生よりも中学生、小学生の女の子を可愛いと思う人種です。あ、勘違いしてはいけません。ゆのっちは高校生ですが、とても魅力的だと思いますよ?

 さて、そんな私ですが、さすがに身長9センチメートルは対象外です。だって、握りこぶしくらいのサイズじゃないですか。とりあえず既刊と思われる1~3巻を手に取り、悠々とレジに持っていきましたが、決してそういうことではありません。絵柄の雰囲気がなんとなく好みだったからですよ。

 ……前置きが長くなりましたが、そういうことで今回は漫画『ハクメイとミコチ』の話です。

 

 身長わずか9センチメートルの少女であるハクメイとミコチ。彼女らは、大木の根付近に家を構えて生活しています。各地には、同じく手のひらサイズの人間たちによる街が形成されているようで、2人だけが特殊な存在というわけではないようです。すなはち、イメージとしては人類のみが小人サイズになった世界、といったところでしょうか。

 漫画の中で描かれているのは、主として小さな彼女達の日常生活です。それらは、いたって普通のものですが、視線が違うことで新鮮な世界が広がって見えます。

 たとえば……

 一粒がメロンほどもあるブルーベリーやツルバミを染料に布を媒染して洋服を作ったり、米の一粒を砕いて適量のご飯を炊いたり、柑橘類の木の下で葉っぱと茎のテントをこしらえ野宿したり……といった具合に。また、詳しくは語りませんが、彼女らの仕事についても、深く掘り下げて描かれています。

 このように、衣食住や仕事について丁寧に表現されているので、読者の中で、登場人物たちが生活している存在としてしっかり形作られてきて。すると必然的に、街が息づくわけですね。私は、ここが非常に重要な点だと思っています。

 異世界──と、あえて表現します──を描く作品は、それこそ世界の数ほどありますが、その世界の街が息づくためには人の営みに関する描写が欠かせません。現実に則した世界の物語である場合、私たちは自分のそれを流用する形で、登場人物の暮らしを想像することができますが、異世界の場合はそうはいかないからです。

 つまり、想像するための足掛かりが必要になる。

 そういった点で、この『ハクメイとミコチ』という漫画は、非常に多くの足場が存在しています。よって、描かれる街や市場は活気づき、世界は非常に魅力的に映っています。一方で、そうした日常描写があるからこそ、合間にひょっこり混じる非日常──探検であったり、祭りであったり──のエピソードが絶妙のスパイスになっているように感じました。

 

 と、こんな風に冷静に語っていますが、初読した時は、

「なんだこれ、すげえ面白いな!」

「ミコチ可愛い。ハクメイも可愛い。いや、ミコチ可愛い」

「あー、もう旅に出たいな……(定期的に発する言葉No.2くらい)」

「今いる世界にさよならしてえ……(ユメミルクスリ)」

 といった独り言を発するくらいに、かなりのダメージを受けていました。

 そんな『ハクメイとミコチ』。オススメできる漫画ですので、よろしければ是非。