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はじめのはじめ

二次元傾倒な日々。

スズノネセブン(代官山すみれルート)感想

 今更ながらスズノネセブンをプレイし始めました。何気に初クロシェット……かもしれません。ひとまず、すみれルートをクリアしたので感想を。

 

この世界で『魔法』と呼ばれる現象が認知されたのは、そう遠い昔の話ではない。代官山十四郎らの尽力により設立された、魔法に適正のある者もない者も教育を受けることができるスズノネ魔法学園は、築十数年といったところだろう。この学園には特殊なカリキュラムがあり、毎年成績の悪い七人──通称、セブン──が選ばれ、スズノネトライアルという強制合宿が開催されるのだ。セブンに選ばれてしまった城戸幸村たちは、そこで課題を与えられ──

 

 と、舞台背景はこのような感じです。

 

 スズノネの学園長の孫である代官山すみれは、高い魔法適正を持っていながらも魔法をほとんど使おうとはせず、そのことでセブンに選抜されます。上述したように代官山一族は、スズノネ魔法学園の設立に関わっており、そこには彼女の両親も含まれています。しかし、そのとりくみの中で父親である代官山守路が過労で倒れ、そのまま亡くなった。そうした事情から、すみれは魔法に対して悪いイメージを持ってしまっているらしいです。

 

 自分の父親が──魔法学園の設立という悲願のためとはいえ──体を壊すまで働いていたという事は……どれほどすみれの心を締めつけていたでしょう。幼いころから思慮深かったすみれは、本人に聞こえる範囲では『もっと自分の体を大切にして』『もっと私のそばにいて』とは言えなかった。そう言うことで、父親が苦しむことがわかっていたから。

 子供であるすみれを構うことより、まして守路自身の健康よりも優先度の高かったスズノネ魔法学園……ひいては魔法という新たな発見。幼いすみれからすれば、『魔法が自分の家族をバラバラにした』と考えてしまうのは仕方のないことで、一面の真実ではあるのかもしれません。けれど、すみれが敬愛する父親の、最期の言葉は──

「スズノネに行きなさい。そうして僕のかけがえのない大切なものをすみれに見つけてほしい。それはきっと、君の大切なものにもなる」

 というものでした。

 守路としては、大切な人──少なくとも、一緒にワルツを踊ってくれるような相手──がいない限りは見つけることが出来ないメッセージを、なんとしても娘には見つけてもらいたかったのでしょう。じきにこの世を去ってしまう自分ではなく……学園のあちこちに仕掛けたイタズラのような謎かけを娘と一緒に最後まで付き合ってくれる相手が、娘の傍に現れることを願って、残酷ともとれる言葉を遺したのだと思います。

 

 けれど……なんとももどかしい話ですね。大好きだった父親の最期の言葉が、その父を奪ったとも言える魔法学園に通って、そこで大切なものを見つけて欲しい……というものとは。身勝手で、残される側は、たまったものではない、と思ってしまいます。自分の中に流れる魔法の才能を自覚しながらも、けれど魔法を使おうとしないことは、彼女なりの反抗だったに違いありません。代官山すみれという女の子は、スズノネに入学した当時は、父親の最期の言葉を守りたくて学園に通っているけれどもそこで魔法を学ぶ意義はほとんど感じていないという、矛盾した状態だったのだと思います。

 

 思い返すと、すみれが仁乃以外のクラスメイトと親しく会話している描写って、まったく浮かんで来ないんですよね。仁乃はそういうシーンがあったにも関わらず。魔法科に入学しながら授業でまったく魔法を使わない、けれど才能は人一倍。クラスメイトからすれば、すみれは接し方が難しい存在だったのかもしれません。丁寧な言動で人あたりがよいので、普通に接する人は多いけれど、心を許せる相手はいない……といったような。

 そんな彼女にとって、仁乃の存在は思っているよりも大きいものだったのでしょう。二人が仲良くなっているのは、仁乃の人懐っこい性格もあるでしょうし、これは邪推ですが『膨大な魔力を秘めているけれども、その魔法によって問題を抱えている』という点が、すみれの共感を得たからかもしれません。

 また、姉である桃子が勧めた学園新聞の発行も、彼女にある種の学園生活の楽しさを与えたはずです。

 

 けれど結局、授業態度は不真面目で──

 セブンに選ばれたすみれは、父親とよく似た風貌の青年──城戸幸村と出逢うことになるわけですね。そして惹かれあった二人は、大切な人と一緒でなければ見つけることの出来ない守路からのメッセージを探し当てます。

 

 こういったゲームでは、告白は主人公の方からするケースが多いと思うのですが、すみれと幸村の場合は、幸村の告白を止め、すみれの方から言葉にしています。父親に「そばにいて」と言えなかった彼女が、けれど今度は幸村に対し、きちんと言葉にしているのです。自然で、なにより綺麗な流れですよね。ED曲『with you』中の歌詞、『そばにいて you can stay with me everytime どんな時だって』は、そのあたりにも繋がっているのかなぁと思ったりしました。

 魔法に対して前向きになったすみれと幸村の日常は、守路が想ったかけがえのない大切な場所で続いていきます。