登校日。屋上での初めての天クル天体観測。
「想い出の星空が、好きなんだよな」
「……はい」
「ほかの星空は、好きになれないか?」
洋は勘違いしている、という衣鈴。自分は星が好きだから、想い出の星空が好きになったわけではない。だから星が好きな人達の集まりである天クルには、相応しくないと。
けれど洋たちは言う。それでもいいのだ、感謝している、と。それは無意識──洋は意識しているが──ではあるのだろうけれど、衣鈴に居場所を提供している。そして、無意識であるからこそ、そこに作り物めいた空気は存在しない。だから衣鈴は、とまどいながらも拒絶しないのだろう。
こもも。母親や妹といった、自分のもっとも身近といっていいだろう人間が、自分の嫌いなものを好んでいるという状況は、非常に苦しいものなのだろう。こもも自身は、嫌いになった理由は浮かばない──生理的嫌悪というものか──と言っているが、真相はどうだろう?
お盆の話。
千波が倒れる事件だけど、シリアスの描写とエピソードとしての長さがかみ合っていないと思った。肩すかしというか、洋がどれほど千波を大切にしているかを表現したかったのだろうけれど、それはこれまでの様子でわかりきっていることで。まあ洋の混乱は良いとしても、衣鈴と鈴葉の視点は完全に不必要だったかなぁ。お見舞いのシーンで表すほうが自然なのでは。
こさめとの対峙。
「隕鉄」、すなわち隕石と。星天宮なんて名前がつけられていることから、あのご神体も隕石なのだろう。隕石が持つ何らかのエネルギーによって、夢幻が生まれたり、消滅したりする、という設定なのかな。しっかし、こさめの「人間でないもの」に対する態度は、どこからきているのだろうか。そこに在ってはいけないから、一秒でも早く消す必要があるから。こさめ自身はそんなことを望んでいるわけではない──と、こももは語る──にもかかわらず、そうしなければならなかった。ある種の、使命とかそういう言葉で表せそうな。
「夢幻」でもそこに在るということ。そういうものへの態度、心の在り方。友達ということ。これからは、そのあたりに焦点を当てて、物語が進んでいくのかな。
夏休み明け。明日歩と二人きりの登校。
冒頭の明日歩視点からすると、個別シナリオに入った?
それぞれの七夕の短冊と、それぞれの大切な想い出。
あー、明日歩シナリオなら仕方ないけれど、こもも誘われた生徒会を断るのは、きついなぁ……。こももの力になりたい……。
気持ちを切り換え、明日歩シナリオを読み進める。
「明日歩と星見をしたいからだ」
「優しいね」
おお、距離の取り方が不安定になってきているなぁ。自分の抱えた想い出の膨らみと同じか、それ以上のものを洋も抱えていると思い込んでいる。絶対にかないっこないと諦めている。そんな自分は、臆病なんだという自覚も持ってしまっている。そして……そういう自分は周りを困らせるからと押し込めて、明るい笑顔を見せている。
なんてめんどくさくて、もどかしくて、愛しいんだろう。
ミルキーウェイにて。
天文学者だった父親に語ってもらった星物語の影響で、星が好きになった、と語る明日歩。けれどその父親は、星座の神話を忘れてしまった、と言葉を濁す。天文学者をやめて喫茶店のマスターへ。そういえば、この喫茶店の名前とメニューの名前を強引に決めたのって、明日歩だったか?
ただの星好きから決めたわけではなくて、当時の父親の様子を見て、なんとかしようと行動した結果とかなんだろうなぁ。
土曜日、明日歩三昧の日。
歩く時いつも右隣を歩く明日歩。彼女がつけている星型の髪飾り。ダブルスター。そのあたり、なにか意識しているのかな。むむむ……星の神話は全然知らないから、察することもできない。
合宿初日。
星空は、夏の星座から、秋の星座へ。象徴的に、効果的に。
ああ。季節はめぐり、星空は回り、想いは募る。
幸せな気分で、キリもよさそうなので、今日はここまで。