はじめのはじめ

二次元傾倒な日々。

にっき

<書くことについてとか>

 ずいぶんと更新が途絶えておりました。というのも、俺はこうやって文章を書くのが苦手で、「これは文章に残しておかねばっ!」と思った事があったとしても、まず何から書き出せばいいのかとか、言いたいことが上手く書けないとか、そもそもそれは本当に書く必要のあることなのかとか、頭の中でぐるぐる考えて結局何も書かないまま……そういったサイクルによく陥るわけなのです。ですので、”文章化して残しておきたいもの”が、文章化する労力を上回るレベルでない場合、「まあいっかー」で終わってしまうこともよくあったりするわけで。けれど、そうしたときにその”文章化して残しておきたいもの”は、時の流れと共に心の中で確実に変質していってしまう。それは、冷蔵庫に入れた食品が腐る……というよりも、氷が融けて水になるみたいな、水が蒸散して水蒸気になるような、そんなイメージ。それは確かに存在しているのだけれど、手でつかもうとしても指の間からすり抜けていく。仮につかむことが出来たところで、再構築しようとしても全く別物になっている。残滓、みたいな。そしてそれは、きっと悲しいことだと思うのです。

 俺は、人間の感情って、ほとんど全て言語化できると考えているんですよ。盲信かもしれませんが。それは一言かもしれないし、便せんに入れたラブレターかもしれないし、400ページの小説かもしれないけれど、感じた気持ちというものは、正確な形で言語化することができる。技術さえあれば。そう、技術さえあれば、です。だから、同じ感情を伝える場合でも、一言で済む人もいれば、いくつもの言葉を重ねる人もいれば、そもそも上手く伝えることができない人もいたりする。……まあ、いくら気持ちを正しく言葉に込めることができたとしても、受け取る側が正しく理解するとはかぎらないのですが。それはそれとして。

 というわけで、“すごい書き残したいこと”に遭遇したときに上手く言語化できない、なんてことになったら嫌なので時々は日記──何日かの記録をまとめて書くことが果たして“日記”と呼べるのだろうか──でも書いて、慣れておこうかな、と思ったしだいであります。

 

<引っ越しについて>

 俺は三重に住んでまして、三重って結構上下に長いんですよ。その中くらいから、上の方まで引っ越しました。名古屋が近くなって、それなりに便利になりましたね。ちょっと気が向いたら大須まで行けるってのは、思ったよりもいいものです。

 通勤は相変わらず電車なのですが、三重県ってJRよりも近鉄の方がはるかに便利で、利用者も圧倒的に近鉄の方が多いんです。『まいてつ』をプレイしている身としては、JRで通勤、と思わなくもないのですが、やはり利便性から近鉄になってしまう。まあどちらにしても、鉄道に多少の関心を持つあたり、我ながら単純な性格をしているなぁと思いました。

 

<まいてつについて>

 前回の感想が5月31日ですか……。随分と間が空いたのですが、まだハチロクとポーレットのシナリオが終わったところなのです。誤解しないでいただきたいのですが、つまらないわけではないのです。むしろ真逆で、これほど自分に波長の合う作品はめったにお目にかかれないと断言できます。ただ、仕事が多忙であったり、引っ越しの準備等があったり、そもそもエロゲの気分ではなかったり──なんだろう、そういうサイクルってありません? 定期的にラノベが読みたい、とかアニメが見たいとか──したわけなのです。

 それはさておき。

 ハチロクシナリオも、想像通り素晴らしいお話だったのですが、そのあとに読んだポーレットのシナリオがまたやばかった。なんですかあの愛に満ち溢れた物語は! ハチロクシナリオは、双鉄とハチロクが共に過去を乗り越える──終着駅にたどりつく、と言い換えてもいいでしょう──お話で、“それから”の進み方も描かれる素晴らしいものでした。これぞまさに王道。

 一方、ポーレットシナリオは。俺は前回の日記でハチロクと双鉄が似ている、と書いたと思うのですが、ポーレットについても同様でした。幼いころに出会っていた二人。大切な人との別離を経験したばかりの二人にとって、その出会いはささやかな、そして大切な転換点になっていて。それから歩いてきた道は、奉仕的ともとれるほど痛々しいもので。けれど。けれどですよ。それが物語終盤でくるりと反転するんですね。もう、見事としか言いようがない。痛々しく映っていた奉仕的活動──もっとも、この形容を本人たちは否定するでしょう──が、報われる。過去のすべてが、味方になる。

 ポーレットシナリオに入った後、日々姫とハチロクが実に象徴的な台詞を言うんですよ。

日々姫「違いますよ、兄さん。その手はもっと──未来に向けて動かさなくちゃ、ダメですってば」

ハチロク「はい、双鉄様、おやすみなさいませ。そうしてどうぞ、素敵な明日をお迎えください」

  どちらも、自分に構おうとする双鉄へ向けた言葉です。彼女達はこの時からすでに、双鉄とポーレットなら、共に歩いてゆくことが出来るのだと確信していたのでしょう。暗い過去は、けれど明るい未来へと地続きになっているのだと。

 心に巣くう暗い闇のような過去を、王道的に乗り越えるのではなく、見方を変えて、味方に変えて、抱きしめる。それは、なんというか、すごくロマンのある回答だと思いました。だからこそ、あの終盤の美しさがあるのでしょう。もう……大好きなお話でした。