はじめのはじめ

二次元傾倒な日々。

日々姫ルート、メモ書き

凪「痛かことから先に忘れよったら、人は簡単に死ぬばい。そぎゃんこつばわからんのは、心構えが悪かとよ」
 凪の言葉は、凪らしくもなく、水平だ。感じさせられた驚きは、すぐさま静かな納得に変わる。
 説明するでもなく“凪”というのは元気溌剌、明朗快活な少女の名前。名は体を表すことが多いこのゲームでは珍しく、一見、名が体の逆となっている少女。そんな凪が発する、まさに凪海のような言葉をして、”凪らしくもなく水平”と表現する。うっとり。
 しかも、そのあと凪はけろりと元に戻り、「授業料たい! オマケするばいっ!」と双鉄に詰め寄るんですよね。こういう、無邪気な少女に救われる、手を引いてもらう、という展開に極端に弱くなったのはいつからだろう。
 
日々姫「理解しました。出来ました。私少しも──有利になんてなってない」
 これは共通シナリオの最後の選択肢……ハチロク、ポーレットとの“誰が双鉄と一緒に行動するか”勝負で、自分を選んでもらえたことに対する“有利”ということなのでしょうね。そして、それでもなお稀咲という強大すぎるライバルがいることに気づき、気合いを入れ直しているという。
 
日々姫「同じことをしているだけです。わたし、兄さんの妹ですから」
 どの道が正解なのかわからない。だからその道が間違いであると決まるまで、今進んでいる道が正しいと信じて懸命に歩く。それは、大好きな兄から教わった方法。
日々姫「理解、してくれてますか? 私の気持ち」
 けれど、日々姫は語ります。自分に歩く方法を教えてくれた兄だけれど、ゴールに辿り着いたその先──終着駅について“それから”の事を、はたして考えているのか、と。ゴールはけっして、終わりではないのだということを。
 
日々姫「でも、私、わからせますから。兄さんに。そわそわって、うずうずって、こういうのかって、絶対」
 ああ──これは、あれだ。日々姫による双鉄攻略ルート。そうか、そういう展開で来るのか。これは面白い、意識的に攻略される双鉄というのは新鮮な感じがする。
 各ルートの方向性はもちろんそうなのだろう。けれど、駅弁のデザインとか、ハチロクの客車の手配先とか、そういう個別の問題についても、それぞれのルートで対応法とか結果を変えているのか。ルート個別の、意味がつながるような理由と結果。当然そうすべきなのだというのはわかるけれど、そこまでするのは手間で、それを惜しんでいないという印象を受ける。
 
日々姫「傷ば深めてしまうのは、ポーレットさん」
 
日々姫「にぃにぃたちに『謝らせてしまった』って……そしたらあん人、自分をもっと責めてしまいよるけんね」
 
日々姫「わかるんよ。私も、ポーレットさんと同じやけん……にぃにぃやハチロクのように、強かことなかけん」
 この言葉は、この思考は。“同じ”と語った日々姫にも、かつて同じことがあったのだろうと確信するに十分すぎるもので。きっとその時に『謝らせてしまった』のは真闇姉で。無力な自分のせいで、大切な人に頭を下げさせてしまう。そのことに、どうしようもなく傷ついてしまったことがあったのでしょう。
 
 市長選挙候補。区切りが良いところまで進めたので、今日はここまで。自分のことを”強かことなかけん”と語った日々姫。それでも──傷は痛く、苦しいけれど、兄と同じ歩幅で歩けるように。時には、手を、引いてあげられるように。決意するその姿は、凛々しく美しかった。