はじめのはじめ

二次元傾倒な日々。

選択の話

 最近、『村上さんのところ』というブログの記事が、はてなの人気エントリに顔を出しています。「なんだろう」と思い、リンクを開いてみたところ、どうやら作家の村上春樹氏に対して質問を募集し、それぞれについて氏が返信していく、という流れを期間限定で公開しているサイトのようでした。

 私は、氏の小説について数冊しか読んだことが無く、それらがどういう話か説明しろといわれても、「うーん、一言にどういう話とは言い難いんだけど、綺麗な文章を書く人だと思うよ」といってごまかすような、不真面目な読者です。けれど、こういう記事には興味を惹かれます。通勤電車の中など、時間を見つけては興味深い質疑応答に目を通していました。

 そんな風に見ていた記事のひとつに、「漫画やアニメは見ないのですか?」という質問に対する回答がありました。

 氏の回答は、「若い時はわりと熱心に見ていたが、年を重ねていくにつれ、時間が加速度的に早く過ぎていくようになり、漫画等に割く時間が無くなった」というもの。また、「文楽はときどき観るが、歌舞伎は観ない。野球は観るが、バスケやラグビーは観ない」とも言っています。

 その文章を読んだとき、「ああ、やはり村上春樹といえど、興味の対象を取捨選択しているのか」と、当たり前の事を、しみじみと思ってしまいました。

 私も、面白い物事を求めて、アニメを見たり、ゲームをしたり、小説を読んだり、身の回りに目を向けてみたりと、日々取捨選択しています。当然ながらアニメを見ている時間はゲームは出来ませんし、友人と出かけている間はラノベを読むこともありません。興味の対象は都度変化していて、けれどやはり、一定の枠の中にはある。

 自分の時間を、何に使っていくのか。

 人間はどうしようもなく、積み重ねていく存在であって、時間が不可逆である以上それらは無かったことにはならない。

 だからこそ、選んだ何かは、大切にされるべきものだと思いました。