はじめのはじめ

二次元傾倒な日々。

にっき。

 keyの新作(anemoi -アネモイ- | Key (visualarts.gr.jp)、シナリオライターに新島夕の名前を見つけてにっこり。最近は『恋カケ』とか『アイこめ』とか、この人が企画からやってる作品ばかり読んでいたので、久しぶりに制約がある状態で書いたシナリオが読めるのは楽しみだ。なんというか、新島夕というシナリオライターは良くも悪くも映画監督気質、といった印象を受けるのだ。常に新しい表現を模索して、試しながら作品を発表している……みたいな。すると、場合によっては物語やキャラクターが犠牲になってしまうわけで。『恋カケ』はともかくとして、『アイこめ』が商業作品として成立してるのは、オープニングムービーやBGMによる雰囲気づくりの功績が非常に大きいと俺は思っています。
 そんなわけで、舞台設定がしっかり決まった状態かつ、keyのようにキャラクターに対する比重が大きい作風のゲームで、新島氏がやりたいことをどうやって形づくるのか、待ち遠しい。
 
 通勤電車の中で千葉雅也の『現代思想入門』を読みはじめた。なんか本屋さんでプッシュされていたので手にとった次第。目次を眺めつつ、付録である<現代思想の読み方>の章を読んでいたところ、「読みながらツッコミを入れないこと」という文を目にしてハッとしてしまう。というのも、過去に読みながらツッコミを入れてしまった結果読めなくなってしまう、という経験があったからだ。歳をとってしまった弊害なのかわからないが、これは良くない。著者が言うように、読んでいる間はデータをダウンロードするように思考をなぞっていき、ツッコミを入れたり咀嚼するのは読後で十分だろう。
 そんなわけで巻頭に戻り、デリダからスタート。二項対立からの脱構築というのが基本思想らしい。本物(本質的なもの)と偽物(非本質的なもの)があったとして、そりゃ本物がいいに決まってる──という部分に、「それって違う場合もあるんじゃない?」と疑問を投げかける、みたいな。
 つまりは、こういうことだ。「おっぱいっていうのは大きい方が良いに決まっている。小さいほうが良いなんて奴は少女趣味の変態だろ。大きくないと興奮しねえよ」という言説があったとする。これを二項対立に分けると、巨乳=大人=正常=生存戦略に有利 vs 貧乳=子供=異常=生存戦略に不利、となる。ここでは、人間の生存戦略の観点から巨乳側が上位(パロール)と捉えられるかもしれないが、それを脱構築する。「いやいや、代理(かなめも)のおっぱいから母乳が出たら興奮するし飲みたいでしょう?」
 つまり、おっぱいは毒にも薬にもなるパルマコン的なものということだ(多分違う)。
 なんにせよ、同一性だけで世界を診ることができたら簡単だろうけど実際は違うよね、差異を重要視しようよ、ということらしい。
 入門書の入門書、と謳っているだけあって、かなりわかりやすく噛み砕いて書かれているので俺みたいなド素人にはちょうど良い塩梅な本だと思う。