はじめのはじめ

二次元傾倒な日々。

星メモ日記9。あるいは明日歩シナリオその1。

 カップルはね、恥ずかしいものなんだよ。だからこれで合ってるんだよ。
 合宿2日目、カップル1日目の洋と明日歩を見ていたら、そんな言葉が浮かんできた。多分エロゲの誰かの言葉なんだけど、まったく思い出せないし、細部のきっと違っているはず。言葉が表す二人の関係性──同じカップルでも、相手への距離感、性格、温度など──は、違っていて当然だ。けれどね、見ていて「いいぞ、もっとやれ!」って気持ちが湧き出てくる場合があったりして。なんというか、当事者もそれを見てるこっちも恥ずかしくなるようないちゃいちゃぶりをして、それを開き直って、どうだ恥ずかしいだろうこれがカップルだ! って言って笑ってほしい。洋と明日歩の二人は、そんなふうに、無条件で祝福して肯定したい。……最近エロゲやってなかったから、その反動がきてるのかな? 珍しい心境だ……。
 
 父親らしいことがひとつくらいはできた──なんて、冗談めかして喋っているけれど。そんなに卑下する必要は、ないんですよ。だって明日歩は、天文学者だったあなたの星物語を聞いて、星が大好きになったんだから。親が嫌いだったら店だって手伝わないし、喫茶店のメニューを大好きな星々の神話からとったりしない。
 
 洋と明日歩の初デート。
 ふたりが向かった先が雲雀ヶ崎観光っていうのがね。しっくりくるというか、相応しいというか。地元のはずなのに初めて訪れる場所が多い洋と、展望台以外の雲雀ヶ崎も大切な想い出にしてもらいたかった明日歩。こんなにも幸せな時間を過ごす二人は、だから、”あの日、雨が降ってくれてよかった”なんて思ったりしたはずだ。初めての雲雀ヶ崎観光が、初デートで良かったと。
 初めてが野外でしかも学校の屋上って……君たち! いくら星好きだからって……君たち!
 俺が「いいぞ、もっとやれ!」って言ったのはいちゃらぶについてであって、野外セックスの話じゃないんだよー。もっと砂糖吐き出すくらいに初々しいデートしてくれぇ、くっついて星見して秋のロマンチックな星座の話とかしてキスしたりしてくれぇ……。そりゃこさめさんもたしなめるってなもんですわ!
 
 洋が明日歩のおでこにキスするシーン。もうちょっと余韻を持たせてもらいたかった。洋にとってそのキスは意味のあるものだったじゃないか。まあ、それを気にせずにできた洋に安心するけれどさ。すぐに、左側にいる明日歩っていうシーンに繋げたらもったいないかなぁ。だって、この左側にいる明日歩が洋の言葉に反応しなかったシーンって、明日歩の右耳が聞こえていないとかの伏線なんだろう。そう考えると、その伏線の上に、顔を近づけすぎる癖とか、雨警報の耳鳴りの話が奇麗に乗ってくる。
 
 千波。
 この語りは、ずるいよ……こんなの泣くだろ……。
 洋と千波のバックボーンは、多分個別シナリオで明かされるのだろうけれど、この涙はさぁ! なかなかいないですよ、個別シナリオ入ってお兄ちゃんが誰かと付き合ったと知った時に「お兄ちゃんの妹でよかった、ずっと一緒にいられるもん」みたいなことを笑顔で泣きながら言う妹って……。お母さんの墓参りの時でも洋の前で泣かなかった千波がさ、ここで真正面から泣くとかさぁ……やられた……。

星メモ日記8

 登校日。屋上での初めての天クル天体観測
「想い出の星空が、好きなんだよな」
「……はい」
「ほかの星空は、好きになれないか?」
 洋は勘違いしている、という衣鈴。自分は星が好きだから、想い出の星空が好きになったわけではない。だから星が好きな人達の集まりである天クルには、相応しくないと。
 けれど洋たちは言う。それでもいいのだ、感謝している、と。それは無意識──洋は意識しているが──ではあるのだろうけれど、衣鈴に居場所を提供している。そして、無意識であるからこそ、そこに作り物めいた空気は存在しない。だから衣鈴は、とまどいながらも拒絶しないのだろう。
 
 こもも。母親や妹といった、自分のもっとも身近といっていいだろう人間が、自分の嫌いなものを好んでいるという状況は、非常に苦しいものなのだろう。こもも自身は、嫌いになった理由は浮かばない──生理的嫌悪というものか──と言っているが、真相はどうだろう?
 
 お盆の話。
 千波が倒れる事件だけど、シリアスの描写とエピソードとしての長さがかみ合っていないと思った。肩すかしというか、洋がどれほど千波を大切にしているかを表現したかったのだろうけれど、それはこれまでの様子でわかりきっていることで。まあ洋の混乱は良いとしても、衣鈴と鈴葉の視点は完全に不必要だったかなぁ。お見舞いのシーンで表すほうが自然なのでは。
 
 こさめとの対峙。
 「隕鉄」、すなわち隕石と。星天宮なんて名前がつけられていることから、あのご神体も隕石なのだろう。隕石が持つ何らかのエネルギーによって、夢幻が生まれたり、消滅したりする、という設定なのかな。しっかし、こさめの「人間でないもの」に対する態度は、どこからきているのだろうか。そこに在ってはいけないから、一秒でも早く消す必要があるから。こさめ自身はそんなことを望んでいるわけではない──と、こももは語る──にもかかわらず、そうしなければならなかった。ある種の、使命とかそういう言葉で表せそうな。
 「夢幻」でもそこに在るということ。そういうものへの態度、心の在り方。友達ということ。これからは、そのあたりに焦点を当てて、物語が進んでいくのかな。
 
 夏休み明け。明日歩と二人きりの登校。
 冒頭の明日歩視点からすると、個別シナリオに入った?
 それぞれの七夕の短冊と、それぞれの大切な想い出。
 あー、明日歩シナリオなら仕方ないけれど、こもも誘われた生徒会を断るのは、きついなぁ……。こももの力になりたい……。
 
 気持ちを切り換え、明日歩シナリオを読み進める。
「明日歩と星見をしたいからだ」
「優しいね」
 おお、距離の取り方が不安定になってきているなぁ。自分の抱えた想い出の膨らみと同じか、それ以上のものを洋も抱えていると思い込んでいる。絶対にかないっこないと諦めている。そんな自分は、臆病なんだという自覚も持ってしまっている。そして……そういう自分は周りを困らせるからと押し込めて、明るい笑顔を見せている。
 なんてめんどくさくて、もどかしくて、愛しいんだろう。
 
 天文学者だった父親に語ってもらった星物語の影響で、星が好きになった、と語る明日歩。けれどその父親は、星座の神話を忘れてしまった、と言葉を濁す。天文学者をやめて喫茶店のマスターへ。そういえば、この喫茶店の名前とメニューの名前を強引に決めたのって、明日歩だったか? 
 ただの星好きから決めたわけではなくて、当時の父親の様子を見て、なんとかしようと行動した結果とかなんだろうなぁ。
 
 土曜日、明日歩三昧の日。
 歩く時いつも右隣を歩く明日歩。彼女がつけている星型の髪飾り。ダブルスター。そのあたり、なにか意識しているのかな。むむむ……星の神話は全然知らないから、察することもできない。
 
 合宿初日。
 星空は、夏の星座から、秋の星座へ。象徴的に、効果的に。
 ああ。季節はめぐり、星空は回り、想いは募る。
 幸せな気分で、キリもよさそうなので、今日はここまで。

星メモ日記7

 明日歩と通う補習授業2日目。
 
 総一朗と万夜花と詩乃。明日歩とこさめと洋。そして、都市伝説の死神。こういう描写って、鼻につくものとそうでないものがあって、今回はどうなるだろう。天クルとして活動する洋たちを見守る時の彼らの目が、過去を懐かしむ色を見せるとき、そこに心残りを感じるのは気のせいだろうか。
 
 海水浴にて。
 エロゲの海水浴イベントって久しぶりに見た気がする。プールとかで水着イベントを行うシナリオが増えたのではないか。着替えから真っ先に戻ってきた明日歩。なんだろ、明日歩って「服の下に直接水着を着てきたからね! 着替えっていっても脱ぐだけなんだよ」とか言いそう。
 あ、こももがナチュラルに「どけて」とか方言を使ってる。
 
「男子と一緒にボート乗るの、やってみたかったの……」
 明日歩ほんとうに積極的だなぁ。無理してない? ちょっとだけ危うさを感じて、不安になる。けれど、恥ずかしながらも幸せそうなので、良いのだろうか。でも千波、これ気づいてたよなぁ……。
 
 境内にて。
 直前のこさめと雪菜の会話から一転、こももと洋の会話へ。「今日、最高気温が何度か知ってる?」とか喋りながら、生真面目に、やる気無さそうに、ひしゃくで水を撒く。うだるような暑さの中で、当事者たちには悪いかもしれないけれど、その光景はなんだか落ち着いた気持ちにさせてくれる。 こさめと雪菜の会話が、終始駆け引きという印象を受けるものだったのに対して、こももと洋の会話は、明瞭な言葉のやりとりで。踏み込まない一線はあるのだけれど、そこには高度な駆け引きは無くて、ただ相手に言いたくないから言わないという、ごく自然な感情にもとづくもの。はぁ~、落ち着く。
 
 なんかよくわからん生命体が出てきた。ドラゴンみたいな見た目で火とか吐く。俺はもうだめだ。メアに躾けられます。その座は譲らん!
 
 展望台にて。
 こさめがようやく自分の感情というものを表してきた。「こもものためなら、他のものを切り捨てても仕方がない」という覚悟がある、というような危うさを持っている。上述した明日歩の危うさとはまったく違う性質のそれは、例えるなら、本来立ち位置として安定してはいけないところで、けれど安定してしまっているような。それを支えているものとはなんだろうなぁ。自己満足と自己犠牲……とかいう雰囲気がにじみ出ていて、やりづらいなぁ。

星メモ日記6

 明日歩と通う補習授業が始まった。
「あたしはね、結局、星を見上げられるんだったらそれでいいのかもしれない」
 おい、この子ほんとに勝手なこと言い出したよ!
 そりゃ自分の大切な想い出の中の洋は、頭でっかちで友達がいないような子供だったのに、久しぶりに再会したと思ったら他の女の子のために一生懸命駆け回るようなカッコいい男になってたから、「誰かにとられちゃうかもしれない!」って焦る気持ちと、「自分のためにもこんなに頑張ってくれるのかな?」とか期待してしまう気持ちが合わさって、わちゃわちゃになってしまうのかもしれないけどさ。
 そんな気持ちを言い繕った台詞が、
「あたしとふたりじゃ、嫌なのかなって……」
 というものだったのだと思う。
 しかし、ほんと見ていてびっくりするくらいグイグイ攻めてくるなぁ! 
 きっと内面はすごく不安定になってるはずで、つまり明日歩可愛い。
 
 巫女! 巫女が出たぞぉぉ! この巫女、水ぶっかけてくる時にすごい楽しそうな顔するなぁ。子供っぽさが感じられていい! あと真面目だけれど気だるげな感じなのも逆にいい! 萌える!
 昼は姫榊家族、夕方は南星家族、家に帰ってからは蒼姉妹と小河坂ファミリー、夜はそのままメアも合わせて星見。賑やかであたたかくてしあわせな……本当に幸せな一日。
 今日はあまり読み進める時間がとれなかったけれど、それでもこの幸せな一日を見ることが出来てよかった。

蒼衣鈴について

 お風呂に入りながら、衣鈴のことを考えていた。
 衣鈴は別に、星々の物語に興味があったわけじゃない。吸い込まれるような雲雀ヶ崎の星空が、別に好きだったわけじゃない。それでも毎日のように学校の屋上に足を運び望遠鏡を覗いていたのは、ある特定の星空が好きだったからだ。南天の、雲雀ヶ崎からは決して見ることのできない、想い出の星空が見たかったからだ。
 冷静に考えれば、雲雀ヶ崎学園の屋上から望遠鏡を覗いたって、南十字星や孔雀座や風鳥座が見えるわけがない。そんなことは、衣鈴にもわかっていたはずだった。けれど毎日のように屋上に足を運ぶ。それはまるで、迷子の子供が泣きながら自分の居場所を探しているかのようで。俺はさっき書いた日記で、雲雀ヶ崎の満天の星の下、屋上に佇む衣鈴のこと──いや、その光景のこと──を、「儚くも美しい」と書いたけれど、あれは正確な表現ではなかった。あれは、迷子の子供の姿なんだ。帰り道がわからずに泣いている子供の姿。話しかけてくる人達もいるけれど、なんだか怖くて拒絶してしまう。その手を取ったのが、洋であり天クルのメンバー。
 想い出の星空を見ることは叶った衣鈴だけれど、実際のところは問題が解決したわけではない。当然ながら、衣鈴の求めている「居場所」は南天の星空の下などではないからだ。想い出の場所、奇しくも洋にとっての展望台がその場所自体に意味があるものではないのと同じように、衣鈴にとっての南天の星空は、(独白の内容から恐らくは)家族との想い出があるからこそ意味を持つものなのだろうから。それは「居場所」ということなのだろうと思う。望遠鏡を抱え込むように、離さないように抱きしめていたい、そんな居場所。屋上のカギと望遠鏡をくれた館長が言った「この二つを使えば想い出の星空が見える」という言葉は、そんな大切な居場所を、これから作っていくことができる、ということなのだろう。
 ここまで子供として描写されてきた衣鈴の問題が、どのようにして解消されていくのか。そのあたりを楽しみに読んでいこう。……とか書いててまったく見当違いだったら笑ってしまうな。

星メモ日記5

 こもも、義理堅い性格で非常に好印象。冷静さを欠くとダメになるけれど、基本的には正しさの体現。戦う相手には情報を開示し、現状を把握させ、最大限の力を発揮させる。そうしなければ、相手の力量を把握することなんてできないし、そんな状態の相手に勝ったからといって、意味がない。上に立つ資格のある人格だと思う。
 こももの性格を知り、ありがたく感じる洋だけれど、きっと「試されている」ことも感じ取っているだろう。自分のことを、本当に生徒会に誘うに足る人材かどうかを見極めるために。この危機的状況をどうやって切り抜けるかは、その判断材料になるほどに厳しいものである。
 そして洋が、今の自分の一番の目的を「天クルの存続」と意識していること。この変化──本人に自覚があるのかはわからないが──は、メアにとって良い傾向なんだろう。
 
 夜の校舎の屋上にて。
 屋上、星空、望遠鏡に衣鈴。儚くも美しい、一枚の絵画のような光景。けれど洋の目には、懐かしさと共に寂しさも感じられたはずなんだ。
 そして自宅にて千波との会話。
「お前を見習って、俺も本気になったんだよ」
「……」
「頼む。俺に協力してくれないか」
「……えへ」
 うあ~! 千波すごい嬉しそうだ! お兄ちゃんが衣鈴と友達になろうと頑張っているのが嬉しいのと、お兄ちゃんが自分の行動を信頼してわかってくれているのが嬉しいのと、お兄ちゃんが自分を頼ってくれるのが嬉しいのとがごちゃまぜになって、絶対ふにゃふにゃな顔になってるよ!
 
 南天の星空。たった一人のために、天クル全員でたった一夜でつくられた、たった一日かぎりのプラネタリウム語り部は天クルの部員、小河坂洋。
 衣鈴とメアが天クルに入部。
 メアが「死神は」って語り方をする時って、”死神のわたしは~しなくちゃいけない(しちゃいけない)”というニュアンスを持っていたと思うんだけれど、今回の「雲雀ヶ崎の星空が好き」という言葉には、そんな雰囲気は感じなくて。それは、メアが一歩近づいたということなんじゃないかと。
 衣鈴とメア。
 拒絶している者と、迷っている者、という風にこれまで対比されていた二人。その解決として、洋たちが衣鈴の手を掴んで招き入れたことと、メアがおっかなびっくり洋に手を差し出したこと。うん、うん。美しい流れだと思う。欲を言えば、もうちょっとメアに対する描写が多かったら、とも思った。メア可愛い、パカパカになる。

星メモ日記4

 天クル活動初日。
「洋ちゃん、こももちゃんのこと知ってるんだ」
 むー、ってしてる明日歩可愛いなぁ……! 
 自分の大切な想い出の場所に、多くの人が立ち入るようになることについて、明日歩はあまり良い感情を持っていない。洋は合理的に判断しているけれど、明日歩の方がロマンチストであるということか。
 岡泉部長登場。なんだろう、古き良き部長像という印象を受ける。イリヤの空とか、ひまわりとか、あのあたりの系譜?
 
 千波の部活について。
「お兄ちゃん、千波のこと心配なの?」
「……そんなことない」
「えへへ」
 ……好き。とてつもなく好き。ありがとうございます。お兄ちゃん観察日記の設定が生きている表現。
 
 部室での明日歩との会話。
 明日歩にとってもあの日の展望台での出来事は一つの区切りだったのだろう。一線は越えない範囲で、積極的に洋に近づいていこうとしている。一段、一段、友達から恋仲へ向けて。明日歩による洋の攻略作戦。この段階で本人にそこまでの自覚があるかはわからないけれど、洋の想い出は洋の想い出として、けれど自分の想い出もきっと、それと同じくらい大切で大きいものだからという、清々しい態度。好き。
 
 カップルの仲を引き裂くという死神の都市伝説。
 洋って、不可解なことに遭遇したときはまず本で調べて知識を得て、その後自分の中で考察するという、実に合理的、頭でっかちな性格として描写されている。逆に、超常を超常として受け止めることについては、そこまで柔軟性があるわけではない。しかし、このゲームって、「超常現象アリ」の世界観だよね? そこをどういう風につなげていくか。
 
 メアの嫌いなものリスト
「人から命令されること」
「馴れ合い」←New!
 これまで一度も触れたことのなかった少女に、目をつむらせてから抱きしめるって、そりゃ変態だろうよ……。ふつうに触れるくらいでいいじゃないか!
 そして翌朝、メアと同じくらいの背丈の新しい少女が登場。これどうみても幼女だ。あ、衣鈴の妹か。……その年代と”同じくらいの背丈”って表現されるとは、メアの新調はイメージしていたよりずっと低いんだな。
 
 メアの嫌いなものリスト
「人から命令されること」
「馴れ合い」
「変態」←New!
 
「わたしでも、天体観測できるの?」
「わたしでも、キレイって思う?」
 ところどころで顔を見せるメアのこういう台詞。なんというか、あれだ、罪の意識。悪夢を刈り取る存在である自分を肯定できない。誰だって、自分の大切にしていた想い出を消されてしまったら、当然のように恨むだろう。
 
 これは、強引さがウリの小河坂兄妹が、南星親子にそのお株を奪われたということかな。洋は否定するかもしれないけれど。衣鈴に対する小河坂兄妹のそれが良い方向に作用しているだろうように、洋に対する南星親子のそれも、きっと良い影響を与えるはずだ。寝言の「ごめんね」は、明日歩自身も強引だったということを自覚しているから、かな。
 
 明日歩の前にメアが現れることは無かった。
 自宅にて。
 衣鈴の語り口調は、誰かに話しかけているというよりは、どこか独白めいていて。誰かに自分の気持ちを話すことに慣れていないようで。
「私は、友達なんていりませんから」
 そうくるよなぁ。メアと明日歩と衣鈴。友達に対する三者三様の態度。洋が一番理解できたのは、昔の自分と重なって見えた衣鈴のそれ。
 明日歩と千波と洋、洋とメア。ぎこちない星見だけれど、これまでには無かった光景。