はじめのはじめ

二次元傾倒な日々。

景の海のアペイリア、クリアしました。

 景の海のアペイリア、クリアしました。最後の方の三羽の説明等を読み直してようやく、そういうことか! と理解できたような気がします。しっかし、よくここまで構築したなぁ、純粋にすごいとしか言いようがない。
 
 地道に積み上げてきた何かを大切な人のためにばっさり投げ捨てるという行為、そうしてもよいという心情に名前をつけるとするならば……それは恋ではなく、やっぱり愛だと思うのです。
 最後の時間軸、零一がシンカーの多世界解釈を信じてアペイリアを助けることを諦める場面。アペイリアと過ごす最後の時間を手に入れるために、零一はこれまで決して諦めなかった未来への可能性を、投げ捨てます。諦めずにタイムリープし続けたとしたら、どこかの平行世界のアペイリアを助けることはできるかもしれない。けれど、それまで通過していく世界のアペイリアは必ず死ぬことになるし、なにより今目の前にいるアペイリアと最後の瞬間まで一緒にいることができない。作中で繰り返し述べられているように、『自分は自分以外の何者でもなく、唯一の存在である』というのが、零一の考え方であり、本作のテーマのひとつだと思っています。同じ見た目、同じDNA、同じ記憶を持っていたとしても、零一は零一であり、スワンプマンはスワンプマンである。これは決して、『クローンはオリジナルにはなれない』といった否定的なニュアンスではなく、『誰かのクローン体であったとしてもオリジナルとは別の個人である』という、すべての生物に対する全肯定です。だから、零一は自分の目の前にいるアペイリアを見捨てて、平行世界にいる別人のアペイリアを助けにいくなんてことをできるはずがなかった。零一がそれまで諦めずに観測者と戦ってこれたのは、世界は単一で、タイムリープしたとしても自分が救おうとしているアペイリアは一人しかいないと信じていたからです。その前提が崩れた以上、彼には選択する義務があった。あの「諦める」が、この物語の根幹にあるものを、最もよく表していると思いました。結局のところ世界は単一で、零一たちは仮想現実内で動くAIで、タイムリープなんて実は起こっていなくてサーバーを過去の状態に復元していただけだったのだとしても。それでも、あの瞬間に零一がそう決断したということは、揺るぎない事実なのですから。
 さらに、この作品の特徴として、上述したようなテーマを主張するだけでなく、そこに懐疑的な視点も示しています。シンカーの最後の独白である「過去の記憶を忘れようとした。が、できなかった」は、まさにそれだと思っていて。零一が主張した綺麗事の難しさを、彼のスワンプマンであるシンカーが語っている形となっています。また、物語ラストの干渉縞が消えている描写も、彼らが勝ち取った現実世界と思っていた世界も、実は仮想現実に過ぎないのではないかと“も”とることができます。これらの視点が物語に上手く作用しているかどうかは別として、珍しいなぁと思いました。
 
 と、真面目な話は置いておくとして。
 
 いやー、アペイリアと過ごす最後の一年間、いいですね……。終末感がすごいです。もっと尺を使ってくれてもよかったんですよ? ……わかってます、物語の流れが滞るので無理だってわかってます……。でもアペイリア可愛すぎるじゃないですか。零一をゆさゆさと揺すって起こした時の「おはようございます、オーナー。目覚ましアペイリアでした」っていう台詞とか、破壊力ばつぐんでした。「目覚ましアペイリア」って語感良すぎですし、アペイリアのあの口調がしっかり合っている。そういった具合に、零一とアペイリアの会話って、どういうわけかすごく心地いいんですよね。中でも一番笑ったのが、アペイリアがおなにーを教えて欲しいという場面。
「おなにーです。アペイリアもできますか?」
「……できる。まあ、できる……とは思うが、ちょっとまだ早いんじゃないか?」
「早いですか?」
「ああ、アペイリアはエッチもまだだからな」
「オーナーはえっちをしたことがないです。ですが、おなにーは毎日していました。アペイリアも早くはないと思います」
「……」
 完全に論破されてしまった。
 この会話の流れ、まいりました、脱帽ものです。そして、このあとに続くシーンもね……「知ってた!」以外の言葉はないですよね。はい、そこはおなにーを鑑賞するうえでは特等席ですよ。いやー、無垢な女の子を開発していくのって、もう、過去から連綿と受け継がれてきた萌えシーンでしょうけれど、やっぱりたまらないですね。いいものです。
 あと、個人的に一番お気に入りなのが、自転車に二人乗りして河川敷をゆっくり走る場面。ここは、厳密には上述した『諦める』より以前の時間なのですが、だからこそ映えているのだと思います。「自転車に二人で乗ると、恋が生まれる可能性があります」というアペイリアのおねだりを聞き、自転車を走らせる零一。ぎゅっと、零一の体を抱きしめて心臓の音に耳をすませるアペイリア。恥ずかしがりながら『恋する命令』を三度繰り返して、照れたり、照れさせたりしている二人を見ているのがすごい幸せでした。あの瞬間、河川敷の自転車道はどこまでも続いていたし、世界は二人のために存在していました。こういう一場面に出会えると、このゲームプレイして良かった、ってなりますよね。
 
 とりとめもなく書いてきましたが、このくらいで。物語が複雑で、きちんと理解できていないところも多々あるのだとは思いますが、それでもすごい面白かったです。あー、クリアしてしまった……。

アペイリア進めてます。

 二週目が終わって、はじめて選択肢が出てきたところまで進めました。おっもしろいなこのゲーム! 読み手を飽きさせないっていうところにすごい神経をつかってて、ほんとに退屈しません!読み進めるためのエネルギーをどんどん供給してくる。一回目のループが数日前で、二回目は一年前ですか。同じ展開にせず、しっかりずらしてきましたねー。選択肢の内容からして、ここから個別分岐ってところですか。とりあえず三羽からいきます。

 しっかしこれ、一年前に戻ったってことは、現実世界の話がそれなりに入ってくるのでしょうか。三羽に出会う選択肢も出てますし、確かましろが事故に遭ったのも一年前くらいだったような。このヒロイン達、みんな相当重たいもの抱えてると思うんですけど、ここまでセカンドメインで話を進めてきたところで、しばらく現実ベースの話を進められたら物語の流れ的に厳しいと思うんですが、そのあたりは大丈夫なのでしょうか。まあこれだけ引き込まれる構成をつくれる人なので、そこまで心配はしていませんが。

 ところで、俺には量子力学の知識がないのでそんなに語ることができないのですが、「可能性の波が可能性の波に干渉する」っていうのは、エロゲーみたいですよね。ヒロイン全員分の個別ルートをクリアした後にトゥルールートが解放されるっていう、よくあるやつ。物語上、また時間軸上では、個別ルートの出来事とか記憶って、そのルート独自のものであって、本来は他のルートには影響し得ないものじゃないですか。けれどそれらが重なり合った結果、新たな選択肢が発生し、まったく異なるルートが生まれる、みたいな。……うん、戯言ですね。

 あと、零一の戦闘シーンが軒並みひどくて楽しいです。もうあれは人間技じゃないです。そこに周りもテンションを合わせてくれるのがシュールで面白い。いや、確かに陰茎に300kgの重りをつけられた状態で勃起できる奴が相手なら仕方ないですが!

 

 あー、明日から仕事か。時間の確保が難しくなるなぁ。

景の海のアペイリア、はじめました。

冬休み。静かに雪が舞い降りてくる朝に、俺はこの雪が過去と同じなのか確かめるべく──
懸命に、そう、ただただ一心不乱に──

公園の草むらでオナニーをしていた。

 ふっざけんな! 冗談抜きで漫画的描写みたいに噴きだしたのなんて久しぶりだよ! しかもなんかBGMも無駄にシリアスだし!

 はい、というわけで、景の海のアペイリアはじめました。面白いと話には聞いていたのですが、うん、これはやばいです。

 

 雪が降っている。過去が降り積もっていく。雪が融けるように、降り積もった過去が消えてなくなっていく。みたいな感じで物語のイントロダクションがはじまるわけですよ。こっちは「あー、冒頭のシリアスなモノローグで重要な伏線や主人公の目的を印象
づけようっていうパターンだな」って身構えるじゃないですか。雪のように融けていく過去を少しでもつかみ取ろうと、離すまいと、必死に搔き集める主人公の様子が脳内にイメージされる、その刹那にオナニーですよ。……もう天才的としか言いようがない。

 そこからさらに、

「精液は数mも飛びません」
「それはどうかな。俺としては4m20cmジャストってところが問題だと思うがな」
(中略)
「残り10秒です。間に合いますか?」
「問題ない。射精のコントロールには慣れている」

 といった頭のおかしいやりとりが、怒涛のように押し寄せてきて、俺の頭の中は一瞬で真っ白に染まりました。ついでに主人公の精液は通りかかった女の子にかかって、彼女の顔を白く染めました。

 そして場面転換、状況説明が入って、オナニーには意味があったことが明らかになるわけです。ほんと、こんなに惹きつけられる冒頭って他にはちょっと見たことないです。ほんと上手いなぁ……。いや、オナニーはオナニーだよ。公園オナニーは犯罪だよ。通報だよ。

 そしてお約束のように、白い液体をかけられた女の子は、新しく一緒に暮らすことになる義妹という……。この義妹(三羽)がまた魅力的でして。

「こ、心を込めないでくださいっ!次、感謝したら、一緒に食べてあげませんよっ!」

 この台詞を聞いた瞬間に「あー、こりゃやばいやつだ」ってなりました。言葉選びのセンスって、こうもわかりやすく表出するものなんですよね。まあ、一番印象に残ったのがこの言葉ってだけで、三羽がどういう人間かについては初対面で変態と言われてから、家で再開した場面の会話で十分伝わってはくるんですよ。相手のことをよく理解しようとしていて、けれどそれを適切な言葉で表現するのが苦手で、それでいてひたすらに真面目に世界と向き合っている。「そこにどこか『諦め』のような感情が混じっている」……という部分については俺の邪推かもしれませんが、とにかく三羽という人物像がものの数分で心の中にストンと落ちつく。

「……兄さんは、ただ気持ち悪いだけじゃなくて、どうしようもないぐらい馬鹿なんですね」

 これ、誉め言葉なんですよ……すごいですよね、ときめきますよね。流石に零一には誤解されるわけで、その時に小声で「褒めたのに……」って言うんですが、読んでいるこっちは「そんなこと言われなくても分かってるよ」となるわけです。物語開始早々にもかかわらず。すさまじい筆致です。

 ……っと、三羽も可愛いんですが、もちろんアペイリアも可愛いです。初期状態の無機質な声で冷静なツッコミを入れる様も好きでしたが、自我を持ってからどんどん可愛くなっていきます。なにこの小動物みたいな子。零一の役に立ちたい、誉めてもらいたいというのが第一行動原理なの、可愛すぎる。

 あと、はじめての感情を覚えるときの描写もすごくいいです。ここまでの一番のお気に入りは「アペイリアのやりたいことが最優先」と零一に言ってもらえたときの、よくわからない感情に包まれてちょっと言葉を失ってから、嬉しげに照れたような声で喋るアペイリアですね。ダントツにここがやばいです。心の一枚絵に刻み込んでおきましょう。

 プレイしていてどうにも我慢できなくなったので、中途半端ですがここまで書いておきます。いやー、まだオープニングまでも進んでいないのですが、それでもこの作者が信用に足るであろうことは疑いようがないですね。これは面白すぎます。進めるの楽しみだー。

にっき

 今日は朝から家の掃除をしていました。最近、仕事はドタバタしてるわ、頭痛はするわ、エロゲには夢中になるわで、ここ2週間くらい掃除がおろそかになっていたので、わりと気合を入れてやりました。はじめる前はめんどくささが勝っているのですが、いざやりだすと、ここも、あそこも、と凝っていくのはいつものことで。軽い気持ちだったのに気がついたら大掃除になっていました。まあ、生活空間がだいぶきれいになったので、満足満足。

 昼からは、ラノベを読んだり、だらだらと。あー、そろそろ問題児シリーズの続編(ラストエンブリオだったかな?)を買おうかなぁ、でも近くの本屋には確か置いてなかったよな、あんまり車走らせる気分じゃないなぁ、とか考えながら、結局ゴロゴロしてました。この作者、文章力的にはそれほどではないと思うんですけど、ラノベ向きの面白い設定を考える技術に関しては天才的だと思うんですよね。歴史上の出来事や伝承になぞらえたゲームを開催し、ゲームの内容が記されたスクロールから勝利条件を推理して、ホスト側と戦う……なんと心躍る設定でしょうか。一つ、突出して光るものがあるならば、他の部分が多少おいついていなくても、こんなにも魅力的になるっていうのは、すごい。

 6月発売予定のエロゲをチェックするも、興味をひかれるような作品は無し。まいてつlast runは、製作中とのことだけれど公式HPもまだ作られていないということは、発売日はかなり先ということになるのかな。待ち遠しいです。

 続けて、ネットでエロゲのOPなどを見る。俺の悪癖のひとつに、『OPだけで内容をイメージし、エロゲを購入する』というのがありまして。これがバッチリ成功することもあれば、まったく自分とは合わないゲームを引き当てることもある。当たり前なんですけどね。でも、エロゲのOPって、タイアップでもなく、まさにそのゲームのためだけに作られてるわけじゃないですか。だから、OPを見ればだいたいどういうコンセプトに創られた作品か、漠然と理解できると思うんですよ。たまに、そういう先入観を利用して落差で驚かせるっていう手法をとっているゲームもありますが、それは例外として。
 まあ今回はあまり収穫はなく、星メモEHのOPとかリピートしてました。ほんと、あの後日談感というか、幸せな日常をイメージさせる映像、曲、大好きなんですよ。とくにサビの始まりの部分。本編のそれとはまるで対照的に、「ファンディスクのOPは、やっぱりこうでなきゃ!」っていう要素がすべて詰まっていると思います。いいなぁ。
 とはいえ、次やるゲームの収穫がなかったのは痛い……。いや、大量の積みゲーを崩すのが、一番よいというのはわかっているのです。漁ってみたところ、「いろとりどりのセカイ」が一番適してるかなぁ。でも、ちょっと読んでみて合わなそうだったんですよね。あと、なぜか「SNOW」のプラスエディションが置いてあった……いずれは避けられないだろうけど今じゃない。あー、ワールドエレクションが終わってしまって、ぽっかり空いてしまった穴をどうしたもんでしょうか。

ワールドエレクション。クリアしました。

 パフルートをクリアした後、ファウラ、ソフィアと進んで、クルルルートを最後まで読み終えました。多分これで、メインのルートはすべて終了ということで、ひと段落でしょう。

 ファウラルートについては、まったくと言っていいほど波長が合わず、個別ルートを読んでいるのにそのキャラのことが苦手になる、という珍しい経験をしてしまいました。ソフィアルートについては、お話としては面白かったと思うのですが、やはり、俺がソフィアという女の子にあまり興味が沸かなかったからか、そこまで楽しむことが出来ませんでした。

 まあ要するに、「とほほ……もうセックスは、こりごりだよぉ〜!」的な心境になっていたわけですね。ファウラさんがとにかくきつかった……。そりゃ性欲強いのはわかってましたけど、あそこまでやられるときつい。いや、俺の好みに合ってないだけで、好きな人にはああゆうのが受けるのかもしれないので、あんまり言うつもりもないんですが。

 そんなわけで、「セックス……こわい……」みたいなテンションでクルルルートを読みはじめたのですが、やっぱりメイン中のメインなだけあってかなり面白かったです。

 以下、たぶん冷静じゃない感想。いつものポエム分高めです。

 クルル、共通から全然ブレてなくて、敬にべったりで、敬がすべてで。でも、なぜかうっとおしいと思えないんですよね。そのあたり、流石だなぁと思いました。セックスになってもそれは変わらず、クルルに「セックスは、こわくないんだよ」って言ってもらえた気がしました。そうだったんだ。これが……セックス。

 お話としては、やっぱりこのゲームを包括するような内容でしたね。敬がそれぞれのルートで示してきた『みんなとわかりあう』こと。そしてクルルが実行した世界侵略は、その究極の形という。

 本来、クルルの世界侵略に、敬は多少肯定的であってもよかったと思うんです。「気持ちはわからなくもない」みたいな。ひとりぼっちは寂しいっていうのは、誰より敬がよくわかっていることですから。子供のころから、特別な存在として扱われてきて、特殊な生徒が通う学園でも、ほとんど誰も近づいてこない。ポン子との出会いに救われたところはありますが、それでもクルルに出会った頃の敬は、みんなに受け入れてもらうことに飢えていたと思います。自分と同じように特殊な能力を持つ生徒が集まった学園で、けれどやっぱり腫れ物のように扱われている現状。「みんなに俺が平凡な人間だとわかってもらうには時間が必要だ」と言って、はや1年が経過して。どこかあきらめの感情が、芽吹きつつあったんじゃないかと。誰かとわかりあうことは、実はとても難しくて、こんな特殊な自分では無理なんじゃないかと。

 物語の中で、クルルが最初に出会ったのが敬じゃなかったら世界はすぐに崩壊していた、と述べられています。運命ですよね。でも、こうも思うんですよ。敬がクルルと出会わなかったら、全力でクルルに説得しようと思う敬には、なっていなかったんじゃないかなと。いや、もちろん突如現れたクルルが人類補完計画みたいなことを言い出したら、そりゃあ、あの頃の敬だって戦おうとはするでしょう。けれど、あそこまで個と個の話をして、かつクルル達を理解しようとは、しなかったと思うんです。世界中のひとりひとりに選択権があって、自分の答えを自分で決めて。それが、それこそが世界の選択だ、なんて……クルルと出会う前の、生徒会選挙に立候補する以前の敬は考えていなかったと思います。

 クルルと出会って変わったのは、敬だって同じで。だからきっと……“お互いさま”なんでしょう。

「私達、これからどうなっていくんだろう……」
「明日には忘れてるんじゃねーの?」
「たくましすぎますよ、ファウラさん……」
「あたしらはそんなもんさ。お前ら人間はちがうのか?」
「……ちがわないのかな」

 精神支配がとけた直後の伊織とファウラの会話。この伊織の「……ちがわないのかな」が好きです。そう、たぶん、そんなにちがわないんですよね。セックスに対するスタンスに多少の違いはあれど──お前どこまで根に持つんだ──獣人も人間もたいしてちがわない。その前段、ソフィアとチコ、パフとメロウのやりとりもいいですよね。チコがソフィアにくっついて、メロウがパフを挑発して、パフが「キーですわ!」と怒って。たいしてちがわない奴らが、寄り添ったり、喧嘩したりしている。そんな世界のとある場所では、朝焼けに包まれながら、敬が再びクルルに告白して──。

 そして、エピローグ。

 手をつないで歩いている敬とクルルの一枚絵だけで、どうしてこんなに満たされるのか。

「心で感じるのと頭で考えるのは、全然、ちがうよね」
「……全然、ちがう答えになる」

 クルルが語るこの言葉には、とても強い感慨が込められていたはずです。心で感じることができるクルルは、敬と出会ったあの日に、はじめて生まれたものだったでしょうから。そして、敬は多分、この言葉にそこまでの意図は感じていない。それでいいのだと思います。一心同体ではない彼らは、手を繋ぎ寄り添って、歩くことができるから。自分のことを自分でもよくわからない、理屈ではない心は、けれど相手がいてくれるだけで満たされるから。
 暗い夜もいつか、朝になるから。

ワールドエレクション。パフルート感想。

 どうも、頭痛がいっこうに収まらないのでやべーと思い、CT撮ってきたんですが、特に異常はありませんでした。……じゃあ何が原因なんだ。血液検査の結果、白血球がやや多くウイルスの可能性があるってことで、細菌をやっちまう系の薬と、あとは純粋に解熱鎮痛薬をもらって、ひとまず様子見です。まあ、効いてる、気がする……!
 そんなわけで、ゴロゴロ療養してたわけですが、薬が効いてる間はわりかし楽なので、エロゲとかやっちゃうっていうね。はい、パフルート読み終わりました。ロリ天使可愛い!
 パフについては、共通のエピソードが結構強く印象に残っていて。あれです、夜に屋上でおにぎり食べるやつです。その時にパフがおにぎりを好きな理由として、「誰が作っても美味しくできる」みたいなことを言ってるんですよ。これは単体ではたいした意味を持たない言葉ですが、そのエピソードの少し前、ヒロイン達が敬に手料理を披露するというエピソードと合わせると、見えてくるものがある。美味しい料理を披露したパフは、けれど、最初からこんなに上手にできたわけじゃない、と言います。人間界の食文化は、天上界のそれとは大きく異なるから、と。寮の自室で、失敗作の料理を見つめてズーンと落ち込んでいるパフの姿は、容易に想像できます。けれどお腹はぐーぐー鳴るばかりで、涙目で残った米と塩を使っておにぎりを握り、えいやっと口に運んでみたら、それは思いの外美味しくて。
 パフって、0から1に持っていく作業はとことん苦手だけど、1からひとりで地道に積み上げて行くのは得意、ってタイプじゃないですか。だから料理という分野で、おにぎりを美味しく作ることができたっていうことが、パフの料理修行のスタート地点だったのでしょう。最初から何も美味しく作れなかったら、きっとパフは自炊を諦めてしまっていたんじゃないかと思います。……まあ、共通を読んでた時は「パフって、失敗にめげずにコツコツ努力できるやつなんだろうなぁ」くらいの印象でしたが。
 しっかし、個別を読み終えて思うのは、学園生活において、パフに『0から1にする方法』を教えていたのはいつだって敬だったなぁ、ということですね。ミリエル先生の少ない話から察するに、天上界って基本的に自己評価みたいじゃないですか。他者の評価よりも、自分の信念にどれだけ忠実に行動できるか、みたいな。それは天上人の本質──おそらく悪になり得ない──があるから成り立つシステムなのでしょう。そんな天上界でエリートだったパフが、多種族ごっちゃ混ぜの学園で上手く振る舞えるわけがないんですよね。自分の信念を押し通すだけでは決して縮まらない距離が、すぐ隣の席に座っている同級生との間にあるわけですから。パフにとって初めてばかりで、『0』からで、だから空回りばかりだった。
 一方で敬は、入学早々のソフィアとのトラブルでくすぶっていたとはいえ、もともとは『みんなとわかりあいたい』という想いを抱えていたわけです。そしてそれは、みんなとの選挙活動を通じて、より確かなものとなった。どうやって、文化や生活様式やそもそも種族が異なる他者とわかりあえるかを、ずっと考えていた。
 相性がいい二人だよなー、と純粋に思ってしまいました。『0から1にする努力』と『1から積み上げていく努力』を体現しているーーというと言い過ぎになってしまいますかね?ーーカップルなわけですから。

 あー、あとパフの幼さが際立つイベントCGは凄い好きでした。そういうシーンになると一際幼くなるCUFFSのゲームを思い出して、ひとり切なくなったのはまた別の話。1回目のもいいんだけど、2、3回目の抱える系のは、個人的に好みでグッド! もう少し激しくてもよいと思いました!

 次は……ファウラさんかなぁ。

ワールドエレクション。伊織ルート感想。

 伊織ルート読了しました。ネタバレ前提で書いていきますので、まだルートクリアしていない方はご注意ください。
 本当は昨日帰宅してからプレイしようと思っていたのですが、最近続いていた頭痛が結構激しくなっていて、こりゃまずいなー、と薬飲んで寝ることにしたわけです。んで、今日起きたところ、わりと回復していたので、ようやく読み終えることができました。頭痛って、寝すぎると余計に悪化することもあるのが嫌ですよねー。俺は慢性的な頭痛もちってわけではないんですが、仕事柄、パソコンをカタカタやりながら物事を考えるって時間が多くて、残業する日が続くと疲労がダイレクトに頭にくるんです。加えて趣味も……ご存知のとおり、エロゲだの、読書だの、アニメだの、体ではなく目と頭を使うものなわけで。「ストレスを発散させる方法が、疲労した部分を使うもの」という、負のスパイラルが爆誕するんですよ。
 っと、これくらい安全範囲を取っておけば大丈夫ですかね。普段あんまり気をつかっていない──というのも、プレイしているゲームは大抵、やや古いものである──のですが、このルートにひとつ大きいネタバレ要素がありまして。ルートの一番最後にくるやつが。それって、伊織の、敬に対する意識に多大な影響を与えたものなんですよ。……その情報の開示が、ルートの一番最後で、しかもあまり多くの紙面が割かれているわけではないので、有効に働いているとは言いづらいところが悲しいですが。
 個別部分、実はかなり不安でした。ルート入って、そこまで進めていない段階から、告即セをくらったので。「あれ、これ共通の尺が長かった分、個別は短いのか?」とか、「いや、待ってくれ。もう少し、恋人関係になっていない状態での、こじらせた独占欲全開の嫉妬をください!」とか、思うところがあったわけです。
 結局、個別の尺は短めだったのですが、個人的には楽しく読めたので安心しています。俺はイチャイチャを見ているのが好きな人間なので、二人きりの時は「もう、お兄ちゃんはしょうがないんだから」ってすげー嬉しそうにお世話してくれる伊織だったり、人前ではまだつっけんどんな対応をしてくるけど敬のことを気にして聞き耳を立ててる伊織だったり、ソフィアに誘惑されないか心配だからって生徒会役員になる伊織だったり、まー可愛いわけです。もう、個別まるまるイチャイチャでいいですよーっていう心持ちだったわけですが、最後に伊織の能力についてのイベントが発生します。その中で、「敬が今の能力を発現したのは、伊織の能力によるもの」という情報が開示されるんです。幼いころ、“ネオスではなかった”敬の、「みんなともっとわかりあいたい」という願いを叶えるために。
 共通部分の感想──という皮をかぶった伊織の可愛さ吐露──を書いていた時は、「なんでお兄ちゃんのことよく知らないくせに恐がるの!」とか、「こんな学園にいたらお兄ちゃんは傷つくだけだ……」とか、伊織の憤りは他種族や学園といった外向きのものだと思っていました。それは、一部その通りだったのでしょうけれど、敬が孤立してしまっているこの状況が生まれたのは、元をたどっていけば伊織に返ってしまっていたという。
 “自分が敬の能力を覚醒させなければ、今頃は、普通の学校に通って、学校帰りに普通に友達と遊んだりして、普通に恋愛とかできたはずだ”
 その意識は、常に伊織を苛んでいたのだと、この段階になってはじめてわかるわけです。……遅すぎるよ! ルート開始直後くらいに、敬が生徒会選挙に落選した時に泣いてしまった伊織。その胸中は、幼いころに夢描いた「みんなとわかりあいたい」という敬の理想が、あと一歩届かなかったことに対する悔しさ──けれどそれは、生徒会長にならなくても達成できたのだと敬は口述している──の他に。あの日、兄をかっこいいと思い、応援しようと能力を覚醒させた自分が、結局最後は兄を応援出来なかったこと。能力を忌避し見ないふりをしてきた自分と、能力に翻弄されながらも受け入れ夢を実現しつつある兄との対比。ましてや自分は、自分のせいで能力を発言させた兄にすら、自分のことを打ち明けられていない状況。……そして、そんな自分ですら、誰よりも大切に扱ってくれている兄の優しさ。そういったものが渦巻いていたのだとわかりました。
 この情報については、伊織視点の回想とかモノローグとかで、もう少し早めに出して、物語全体で丁寧に伊織の心情に焦点を当ててくれてたら、かなり化けてたのかなぁと思ったり。その点は、少し残念でしたね。
 とまあ、いろいろ書きましたが、兄妹の物語としては結構気に入っていたりします。普段は冷静にふるまってる伊織がパタパタと空回りしちゃって、そういうときでも敬はちゃんと受け止めることができて。最終的に、お互い無理しなくてもいい関係になって。よかったよかった、ってなりました。小学生並みの感想ですね……。
 次は誰のルートに進もうかな。パフか、ファウラかなぁ。